Other major eye disease その他の主な眼の病気
網膜静脈分枝閉塞症(もうまくじょうみゃくぶんしへいそくしょう)
動脈硬化による「眼底出血」にご注意!
恐ろしい「死の四重奏」
動脈硬化とは、動脈の壁が厚く硬くなった状態で、そのため、血液を全身に送り出すのに、より大きな圧力が必要(高血圧)となり、血管の細い部分では、血液が滞りつまりやすくなる状態です。このような状態が高じて眼底出血や心筋梗塞・脳梗塞等の恐ろしい病気も発生します。
更に、「高血圧」、「肥満」、「糖尿病」、「高脂血症」の四つが揃うと「死の四重奏」と呼ばれ、狭心症や心筋梗塞などの心疾患で死亡する危険性が著しく高まります。
必ず行いたい眼底検査
眼底検査とは、瞳から柔らかい光を入れて、眼の底の網膜(カメラのフィルムに相当する部分)を観察する検査で、特に痛みもありません。この検査で、膜の血管の状態を直接観察することで、全身の高血圧や動脈硬化の状態が判定でき、さらに、これに関連して起ってくる「眼底出血」等を早期に見つけて、視力低下を防ぐことができるのです。
大切な早期発見・早期治療
この眼底出血の中で、特に代表的なものが「網膜静脈分枝閉塞症」という病気です。すなわち、網膜の動脈と静脈の交叉部で血管がつまり、そしてせき止められ行き場が無くなった血液が、血管壁から炎が吹き出るように出血して、眼底出血を発生する病気です。
そして、眼底出血や網膜の腫れが、網膜の中心部(黄斑部)にかかってしまうと、視力が下がり、物がゆがんで見えたりします。
このため、眼底出血は、早期発見と早期治療が特に大切で、治療には、内科の先生とも連携して、内科的治療を行いながら、眼科では、内服薬と共に「レーザー光凝固治療」が行われます。最新の治療法として、「マルチカラースキャンレーザー」という新しい光凝固治療が導入されています。これは無痛な上、短時間で精度が高く、眼と体への負担も非常に少ない評価の高い最新の治療法です。
ところが、このような治療をせず、放置しておくと、眼底出血がひいた後も、新生血管というもろい出血しやすい血管ができて、今度は眼球の中にまで出血(硝子体出血)を起して著しく視力が低下します。
そのためにも、こうした恐ろしい合併症を予防するには、内服薬以外にこの「マルチカラースキャンレーザー」による「レーザー光凝固治療」が必要となるのです。
特にご高齢の方は、視力低下に気付いたら、放置せず早期に眼科専門医を受診されることをお勧め致します。