ぶどう膜炎
- ぶどう膜炎とは?
ぶどう膜は、@虹彩、A毛様体、B脈絡膜の3つをいいます。(この名前は、これらの組織が果物のブドウによく似ていることからつけられました)主として虹彩および毛様体に炎症が起こるものを虹彩炎、または虹彩毛様体炎、さらに前部ぶどう膜炎といい、主として眼底の奥の脈絡膜に炎症が起こるものを、脈絡膜炎や後部ぶどう膜炎といいます。
- 症状は?
虹彩の前には前房があり、ここには房水という涙の様な液体が溜まっています。虹彩炎が起こると、この房水の中に虹彩から茶色い色素や白血球、リンパ球、蛋白などが出て、房水が濁ります。また毛様体炎や脈絡膜炎を起こすと、房水が濁るとともに、硝子体(本来は無色透明で寒天様のもの)にも濁りができ、かすんで見えたり、ゴミの様な物が浮いて見えたり(飛蚊症)、また光が濁りで乱反射して電灯の回りに虹がかかって見えることもあります(虹視症)。さらに球結膜(白目)は充血し、痛みや流涙をともなうことも多いですが、その程度は軽度から重度までさまざまです。
- 原因は?
(A)外因性ぶどう膜炎
外傷あるいは手術に起因するもので、眼内化膿炎、交感性眼炎(眼球壁が切れ、傷からぶどう膜が眼球外へ出たままになっていると、反対側の健康な目にある期間をへて炎症が出現する)などがあります。しかし手術の進歩、適切な治療によりその数は減少しています。
(B)内因性ぶどう膜炎・・・
一般にぶどう膜炎と称する時は通常これを指しています。内因性の中には@感染性ぶどう膜炎〔例えば、結核、梅毒、癩、ブルセラ、レプトスピラ、ウィルス、真菌、原虫、寄生虫などによるものがあります〕Aアレルギー性ぶどう膜炎(反応性ぶどう膜炎)〔免疫が関与しているもので、その病態は複雑であり、アレルギーの原因は、色々な検査を行ってもわからないことがあります。しかしいずれにせよ全身病や全身状態と密接な関係を持ち、膠原病や糖尿病、その他さまざまな内科的疾患にともなって起こることがあります。〕さらに、全身病を合併するぶどう膜炎として、ベーチェット病、サルコイドージス、原田病などがあります。
- 検査、治療、経過、そうして大切なことは?
以上述べてきた様に、ぶどう膜炎はさまざまな原因で起こり、その検査も、血液検査、ツベルクリン反応、レントゲン検査、螢光眼底撮影、その他の特殊検査を必要とします。しかし、今日でもまだその半数は、これらの検査によっても原因不明のことがあります。治療は、感染性のものには抗生剤、抗結核剤、その他の適切な治療剤を使用しますが、一般には副腎皮質ホルモン剤が使われることが多く、点眼から、注射、内服、点滴と程度や病種により適宜使い分けられます。たいへん消炎効果の強い薬剤です。
経過は、数日で治ってしまうものから、炎症が発作性に起きて徐々に回復するもの、数ヶ月、数年にわたって再発を繰り返し段々悪化するもの、急速に悪化し失明に至るものまで、さまざまです。ですから、医師の指示にしたがって症状に合った適切な治療を受け、定期的な診察を怠らないことが肝要です。当院においては、ぶどう膜炎の専門家を招き、その診断、治療方針には万全の態勢を整えております。
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