むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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Glaucoma 緑内障

09. 最先端の眼に優しい「緑内障専用の新型レーザー治療法(SLT)

緑内障の点眼薬と併用でき、進行を抑える新型レーザー治療(SLT)

緑内障の点眼と併用し、進行を抑える最新の治療法

緑内障の進行を食い止めるには、何よりもまず眼圧を下げる治療を受ける必要があり、一般的には点眼薬による薬物治療が中心となります。実際、治療中の患者さんの約7割は、手術を受けずに点眼薬などでの保存的な治療のみで、眼圧のコントロールが可能であることが分かっています。
とはいえ、点眼薬の治療には注意すべき点もあります。例えば、点眼薬の効果を高めるためには、点眼後に数分間は眼を閉じて、目頭を軽く押さえておく必要があるなど、特に複数の多剤の点眼では患者さんの負担が少なくないのです。
また、仕事が忙しい、脳梗塞などで手や腕にマヒがある、認知症傾向にあるといった人には、複数の多剤の点眼薬になるほど、点眼の治療の確実な実施と継続がむずかしい場合もあります。あるいは、点眼薬を使用中の人でも、点眼薬によってはぜんそく発作を誘発したり、不整脈や低血圧を起こしたりするなど、特に心肺や腎臓の病気のある患者さんには全身的な副作用が憂慮される場合もあります。さらに、長期的に点眼を続けているせいで、治療点眼薬によるアレルギー性の結膜炎や眼瞼の皮膚炎の副作用を生じやすいという難点もあります。緑内障は、治療を長く続ける必要があるため、こういったケースは患者さんにとって重要な問題です。
そこで、点眼薬治療との併用療法として実施されたり、点眼薬に代わる代替療法として行なわれるのが、レーザー治療法で、患者さんのQOL向上にも役立っています。これは、房水の流れを停滞させる原因となる排出口の目詰まり部位にレーザーを当て、房水の流れをスムーズにすることで眼圧を下げる治療法です。

新型レーザー治療(SLT)

最近の朗報として「選択的レーザー線維柱帯形成術(以下、SLT)」という新型のレーザーによる緑内障の光凝固治療法が開発されています。全国の大学病院の眼科などに設置されているハイレベルの機器で、民間の病医院でも稀少数ながら導入されています。当院ではすでに1万例以上ものSLTの治療実績を重ねており、手術とは違って無痛であり、しかも数分間という短時間で体への負担も少ない外来治療として、緑内障の患者さんへの福音となって喜ばれています。
この最先端治療法のSLTは、従来のレーザーの6000万分の1という超低エネルギー(Nd―ヤグレーザーという特殊なレーザー)で治療します。そのため、線維柱帯の目詰まりの原因になるメラニン顆粒(色素細胞)にのみ吸収され、ほかの細胞を傷つけずに房水の流れをよくして眼圧を下げてくれるのです。
正常な細胞に悪影響をおよぼさないので、副作用も合併症も起こす心配がありません。しかも、効果が一定期間持続するとともに、病状により再照射することもできます。患者さんの状態や治療範囲によって多少異なりますが、痛みは全く無く、通常5〜6分程度で治療は終了します。通院で治療ができるため、入院の必要もありません。
なお、SLTは健康保険が適用されており、1回につき自己負担が1割の場合は9800円程度の費用負担で行なえます

新型レーザー治療(SLT)

緑内障専用の新型レーザー(SLT)の利点

  • 副作用や合併症の心配がない。
  • 外来治療で行なえて、全く痛みもない。治療はわずか数分(通常5〜6分程度)。
  • 全身疾患や要介護の高齢者にも安心して実施ができる。
  • 日常生活に特に制限はない。治療の当日も普段通り入浴・洗髪も可能。
  • 健康保険が適用される。生命保険でも「手術給付金」の支給対象となる。
  • 点眼治療との併用療法や代替療法として実施でき、患者さんのQOLの向上にも役立つ。
  • レーザー治療の効果は一定期間持続するとともに、病状の進行があれば追加して再治療できる。

正常眼圧緑内障にも有効例が多い。但し、早期発見・早期治療が基本

現在、SLTの有用性は非常に高く、実施例の八割以上の症例に有効性が認められています。眼圧降下率も20〜30パーセントと報告されており、国内で使用している点眼薬のうち最も眼圧下降の強力なものと同程度以上の効力です。
また、SLTは正常眼圧緑内障にも有効例が多いことが判明しています。正常眼圧緑内障では夜間に眼圧が上がるために、眼圧の上昇が発見できない場合が少なくないのですが、SLTを行なえば眼圧下降効果だけでなく、夜間の眼圧上昇を含めた一日の眼圧変動の差が抑えられるからです。
ただし、SLTは閉塞隅角型の緑内障の治療には用いられません。
閉塞隅角型の緑内障では、特殊なレーザーで虹彩に小さな穴を開け、そのバイパス作用で房水の流れを良くする「レーザー虹彩切開術」という治療法が行なわれます。
また、すでに病状がかなり進んで眼圧が非常に高い緑内障の場合には、SLTの適応外となり、手術をして眼圧を下げるしかありませんが、手術をして眼圧が下がっても、既に失った視野や視力を取り戻すことはできません。このような困った事態にならないで済むように、そしてこの新しい治療法の恩恵にあずかるためにも、緑内障は早期発見・早期治療が何より大事なのです。
しかし、高齢の人は目がかすんでも見えにくくなるまでメガネなどでずっと我慢し「老眼や白内障のせいだ。」などとと決め付け、誤った自己診断をして、緑内障がかなり進行してしまい、完全に手遅れの状態になってから来院されるケースがいまだに少なくありません。
緑内障による視覚障害を防ぐためにも、少しでも眼に異常を感じたら、早めに眼科専門医を受診するようにしましょう。そして、進行を抑えるには、治療の継続がとても重要だということを忘れないでください。

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