むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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多焦点眼内レンズをめぐる諸問題と対峙して          ―新治療法の実施と新刊著書の出版ー

(宇医会報より)

これまで自身の最近の著作として2021年発行の『緑内障 防ぎ抑える 最強療養法』(流通大

手アマゾン4つ星高評価)に続き、2024年度の『最高の白内障 本 10選』にて第1位(10

ポイント満点中9.8点)に輝いた『白内障 最賢治療法』(共に創流出版)を出版し、多くの患者

さんだけでなく、全国の眼科専門医からも高い評価を頂くことができました。

その後も数種類の新たな多焦点眼内レンズが販売されるようになり、その各レンズの特徴や欠点な

らびに副症状とリスクと共に、九州厚生局で公示されている多焦点レンズに関する「保険外併用療

養費」の眼科施設間での大きな金額差等も調査して、今回、新たな著書『白内障・眼内レンズ手術

の真実と「(やみ)」』を上梓するに至りました。

ご存知の通り、多焦点レンズの表面には、レコード状の細かい溝が多数あるため、レンズ内に入っ

てきた光が散乱することでボヤケやかすみなどの不快な副症状を生じるという大きな欠点がある

だけでなく、遠方から近方までの多重な視覚情報の処理を同時に常時続ける必要があり、高齢者に

とって眼と脳への著しい負担となります。しかも、多焦点レンズによる「広い明視域」のメリット

と単焦点レンズの最大のメリットである「良好なコントラスト視力(鮮明な見え方)」とは対極に

位置し、「トレードオフ」(得るものがあれば代償としてその分だけ失うものがある)の関係にあり

ます。

このため、多焦点レンズにより明視域が広がれば見やすい距離は広がりますが、患者満足度で最も

重要なコントラスト視力はその分だけ反比例して落ちていき、副症状も増えていきます。

さらに、夜間の運転のリスクともなるグレア、ハロー、スターバーストなどの不快光視現象や日中

でも遠方視力の低下等、様々な副症状も多々あり、しばしば術後のクレーム等での問題となってい

ます。このため、新しいレンズではこの様な不快光視現象の軽減を(うた)ったレンズが販売される様に

もなりましたが、「老眼を治すための多焦点レンズ」という元々の大前提の目的に矛盾し、かえっ

て近方視力が低下して手元が見づらくなるという本末転倒の事態も生じています。

さらに、加齢による緑内障や加齢黄斑変性などの眼底疾患やドライアイなどの余病の併発や手術後

のレンズを包む水晶体(のう)の収縮に伴う「屈折ズレ」により全距離での著明な視力低下が生じます。

また、特に他の眼病の合併が無い場合でも、「実際に多焦点眼内レンズの手術をしてみなければ不

満例の予測はつかない。」という現状も明らかになっています。しかも、不具合の際には通常の保

険適応レンズに入れ替え手術をする場合にも完全な自費となるなど、様々なデメリットがあること

も一般にはあまり知られていません。

さらに、厚労省が承認した多焦点レンズにおいては、「選定療養」の制度で保険診療と併せて「保

険外併用療養費」として、通常の保険診療でのレンズ代との差額や説明手数料などを「実費」とし

て利益なしで患者さんに請求するように規定されている費用の厚生局への届出価格が、同じ製品で

も各眼科施設によって実に2倍以上から3倍も大きく異なる高額な金額差となっている事実を患者さん

が手術後に知って(いきどお)り、問題となることもよく耳にするようになりました。

この様な経緯からこの様な数多くの多焦点眼内レンズをめぐる問題点に対するその解決法として、

当地域の患者さんが国民年金の受給に依存している方が非常に多い事情にも配慮し、全て保険診療

のみで可能な高機能のプレミアム眼内レンズを使用し、「無痛麻酔法」Ⓡとわずか2ミリの極小切開

法(MICS(ミクス))手術を行うと共に、「コンフォート・モノビジョン法」Ⓡという新治療法を独自に開発し

て特許庁認可登録も得て実施し、低額な自己負担のみで遠方から近方まで広い明視域を可能と

し、その快適な視生活により、多くの患者さんに歓んで頂いている次第です。

今後も患者さんのための明るい希望の光となることを願い、日々の診療や手術と共に著書の上梓な

どによる啓発活動にも微力ながら精進して参りたいと存じます。