図書館を活用した休日の学習法の工夫と試み
院長エッセイ
(宇医会報より)
昨今の医療情勢の中で、日常診療や手術、そして医院運営や労務管理など開業医として日々の各
業務に勤しむ中で、診療や研究のための成書や学術論文を精読するために以前から休日に図書館
を利用して勉強していました。
これまでは水前寺の県立図書館で夕方まで勉強し、その後、隣の市立体育館に移動して着替え、
江津湖の河畔で約1時間半のジョギングを楽しんでいました。江津湖畔の春は桜花、夏は江津湖に
映える夕日、秋は紅葉や夕暮れの情景、そして、冬は梅花など、四季折々の風景と共に勉強後の充
実感とささやかな達成感も心地良く感じられました。最近は最新の設備と新しい書籍が各分野で揃
えられている熊本森都プラザの図書館を利用する様になりました。同図書館では職員の方の説明や
案内も親切丁寧で、入館や退館時に1人1人きちんとお辞儀をして挨拶されるなど、職員の接遇マ
ナーにも感心させられています。また、館内に自習用の机も用意されており、税理士や社労士試験、
宅建資格や公務員採用試験など、働きながら資格取得等を目指す社会人達で朝から席がすぐに埋ま
ってしまうため、館内でも個人スペースを確保できる“特等席”に座れる様に早めに入館する様に
努めています。
図書館勉強の利点として、自宅とは違い、雑事や他からの電話やメール等で中断されることなく集
中してテーマに没頭でき、また、最初は気乗りしなくても図書館で勉強を始めることで次第に集中
力が向上してくることも実感しています。
そして、そのテーマに没頭して気持ちも入り込み、新しい情報や知識を夢中になって読み進んで行
く感覚は、例えるならば、澄んだ青い海原をクルーザーで驀進していく心地良さと充実感を感じさ
せてくれます。
最近の休日の図書館での勉強法の工夫として、ランチやコーヒーブレイク等は入れずに午前中から
午後3時頃まで続けて勉強し、その後は家族と自身の時間や運動や睡眠の時間に充てるように
することがバランスの良い休日の時間活用法ではないかと考え努めています。
また、勉強法もインターバル形式により30分毎に机上で数分間の瞑想時間を入れて集中して勉強
する方法が有用であり、また、事前に勉強するテーマを当日のインターバルの時間割シートに記入
しておくことで、テーマをバランス良く進めることが出来、全体の進捗状況も把握できる利点を感
じています。
因みに“インターバル法”とは、かつて陸上競技で長距離を長時間ゆっくりと走り続ける練習法
を一変させ、高密度の練習をインターバルで繋げる手法により“人間蒸気機関車”の異名で五輪の
長距離種目を全て制覇したエミール・ザトペック(チェコ)の練習方法に由来しています。
また、この勉強法で、集中した濃密な時間を過ごすことはとても心地よく、知識の習得と共に、学
習後に感じられる達成感や充実感など、心身の健康にも有用ではないかと実感しています。
私も当院開業後23年目に入り、患者さんの日々の診療や手術に少しでも役立つ知識を学びながら、
新しい治療法や治療器具の発明や学術論文の執筆、そして、眼病治療の解り易い解説書の上梓など、
明らめた今後の自身の目標を実現するために有用な時間の活用法や勉強法を工夫しながら自分ら
しく努力を続けていきたいと考えています。