むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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笑顔でニコニコ、ゆったり深呼吸法

H24年3月29日 宇医会報より

 近年、一般の読者向けに専門医による解りやすい健康書が多く出版されている。最近も、私の母校の数年後輩の教授小林 弘幸氏が『なぜ、「これ」は健康にいいのか?−副交感神経が人生の質を決める−』(サンマーク出版)を出版して、既に30万部を突破し話題になっている。学生時から互いに運動部で活躍して著者本人をよく知っており、早速購読してみた。医師であればすでに周知の通り、小林氏は現在のストレス社会において自律神経のバランスが交感神経に大きく傾きがちなため、副交感神経を適度に高い状態に保つことが健康な人生を生きることに繋がり、しかも、自己能力を最大限に発揮できる鍵であると説いている。すなわち、副交感神経の働きを高めることによりリンパ球数とその活性が増し、また、体のライフラインである血流を良好に保つことで身体を構成する60兆個の細胞の機能を維持し、自己の持てる能力を充分に発揮することができると説いている。そして、具体的にはゆっくりした動作を意識し、ゆったりとした深い呼吸法と笑顔で過ごすこと、また、腸の働きを整えることが大切であると述べている。さらに、これまで良いと言われているヨガや一流選手の歩き方、また、体に良い運動法や呼吸法、食事の仕方や睡眠のコツなど健康に繋がる副交感神経を高める秘訣を具体的に解りやすく解説している。おまけに、著者は日本テレビ系の「世界一受けたい授業」にも出演して反響も呼び、彼の診療する母校での「便秘外来」は予約が約3年待ちでずっと満杯とのことである。この著書を読みながら以前から同様の理論を論じている医師で、新潟大学の安保 徹教授の交感神経過剰となるストレス社会において顆粒球が著明に増えて活性酸素が多く産生され、リンパ球が減少し、かつ体温も低下して癌などの生活習慣病に罹りやすくなる事を説いた著書を想い出したが、安保氏の場合は抗がん剤やステロイドを含め医師が処方した薬をすべて止めるように指示したり、また、手術や化学療法や放射線療法は癌になっても受けるべきでないなどと極論を提唱して問題となった。これに対し、小林氏の場合は日常生活の中で比較的受け入れ易い良い生活習慣を挙げてそのメリットを解りやすく解説して書いているのが特徴である。すなわち、小林氏の場合は、安保氏のような過激で偏った持論を押しつけるのではなく、受け入れ易い日常生活習慣の改善についての解りやすい解説が特徴的である。この著書を読んで、私も再度知識の整理と参考になったと同時に、一方では、流石に大学教授のため、「言うは易し」であり、その実践の為には生活習慣の改善と共に日々の努力と工夫が必要であると感じている。例えば、ゆったり深い深呼吸を行う為にも、正しいS字状の姿勢を保つことが必要であるが、現代社会ではC字型の前肩・猫背の姿勢の方が激増している。このような状況の中で、正しい姿勢を保つための大胸筋や肩甲骨周囲の筋肉、そして大腰筋の鍛錬が日々のウォーキングなどと併せて特に必要である。さらに、副交感神経を高める方法についても、より有効にかつ確実な実践方法があることを自分自身で確信し、現在自身で実践中である。そして、このような成果を集めて小林氏の著書をさらに進化させてさらに解りやすく実践的な著書を執筆したいと考えている。私自身も以前から医師として診療時にも笑顔で診療することで病気の治癒が促進される事をしばしば
患者さんから学んだり、また、ゆっくりした口調で解りやすく説明することでより良いインフォームド・コンセントが得られる事も日常診療の中で多く経験している。さらに、診療時にも副交感神経を高め、心身を整える方法を自分なりに実践中である。また、これまで自分の診療や手術で良かった手技と工夫点や逆に反省点、さらに悔しかった事やその対策をその都度音声入力で診療向上ノートとして記録してきたが、今後はこの診療向上ノートを毎日記載して、①その日最も反省すべき事、②その日最も感動した事や良かった事、③明日への目標を記録することで、60兆個の自身の細胞を明日に向かって奮い立たせるように努めていく次第である。当院もお蔭様でもうすぐ開業17年目に入るが、地域の先輩の先生方に比べればまだまだ若僧である。この為、今後の工夫点や改善できる点もまだ数多く、焦らずゆったりと一つ一つ改善して、一歩一歩向上を目指して努めて行きたいと考えている。そして、今後も厳しい医療情勢が続く中で、患者さんと共に歩み、共に歓んで治療に努力して行ける様に「患歓力」を涵養できるような診療を目指すためにも、自分自身も副交感神経を整えて、ニコニコ笑顔でゆったりと深い呼吸とゆっくり会話を意識しながら、日々の診療に努めて行きたいと思っている。