Glaucoma 緑内障
10. 「極小切開法」白内障手術(MICS)と「低侵襲」緑内障手術(MIGS)との
同時併施も可能な時代に
わずか2ミリの切開創から最大の成果
「白内障」とは、どのような病気なのでしょうか?
白内障は、水晶体(カメラのレンズに相当する部分)が濁ってしまい、眼がかすんだり、ぼやけて見えにくくなる病気です。眼の疲れや二重視、まぶしさなどを伴う場合もあります。
根治の方法として最新の手術にはどのような方法があるのでしょうか?
最新の手術法として、「極小切開法」(MICS)という世界的にも優れた手術法があります。世界最小のわずか2ミリほどの創口から、白内障を超音波で細かく分化して吸引除去する方法です。目薬のように優しい局部麻酔だけで、特に痛みもなくごく短時間の内に行なわれるようになりました。同時にその小さな創口から、柔軟な高品質の眼内レンズを小さく折りたたんで、眼内に挿入し、眼の中で開いて固定するという画期的な手術法を当院では導入して、高い評価を頂いています。
「極小切開法」白内障手術(MICS)と高品質眼内レンズにはどのような特徴があるのですか?
「極小切開法」に利用されるこの高品質の眼内レンズは、「ソフトアクリル」という柔軟な素材を生かして、非常に小さな切開創から挿入できる優れた機能を持っています。
しかも、手術中の痛みもなく、白内障を根治すると同時に遠視や近視も軽くして治すことができます。
そのため、視力の回復も顕著で、長期にわたり優れた視力を維持できる利点も有し、「眼科医療の中で最大の成果」とされています。また、「白内障手術および眼内レンズの挿入手術」ともに健康保険の適応となり、この極小切開法手術(MICS)でも負担額は同様に低額で変わりありません。
「極小切開法」での手術は、「緑内障」や「糖尿病網膜症」など、ほかの眼の病気を併発している場合も可能でしょうか?また、白内障と緑内障との同時手術も可能ですか?
可能です。「極小切開法」は眼に優しい手術法で、術後の炎症も少ないからです。
さらに、「極小切開法」では緑内障進行を抑えるための緑内障手術も、白内障手術での小さな創口を利用して、同時に「低侵襲」緑内障手術(MIGS)による併施ができるようになりました。
また、糖尿病がある方も、血糖コントロールが良好であれば、「極小切開法」での白内障手術は可能です。
術後の炎症も少ないため、糖尿病網膜症の治療もより効果的に行なえます。
日ごろからの注意点と大事な点について
現代社会では、情報の80パーセント以上を眼から取り入れると言われています。しかし、そのために必要な視力は、テレビ・新聞を快適に見るためには0.5以上を要します。また、当地でも、高齢者のドライバーの方も非常に多く、運転するには0.7以上の視力が必要となります。高齢者の方々にとっても、快適な日常生活を維持するためには良い視力を保つことが大切です。
しかし、こうした最新の医療の恩恵にあずかるためには、何と言っても早期発見と早期治療が大切で、緑内障などで一度失った視野や視力などの視機能は取り戻すことができません。このため、見え方の違和感に気付いても「老眼や白内障だけだ。」などと決め付けて自己判断で放置せず、眼のかすみや視力低下に気付いたら、出来るだけ早めに眼科専門医を受診し、白内障の状態だけでなく緑内障など他の余病の有無についても診察を受けることが肝心です。
治療を継続することで、緑内障の病状の
進行を抑えて視覚障害や失明を
予防することができます。