むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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Glaucoma 緑内障

04. 食べて防ぎ抑える! 緑内障に良い栄養と食物

緑内障の予防と進行抑制に有用な栄養と食物

酸化ストレスを消去して緑内障を抑える栄養と食物

日本人に多い正常眼圧緑内障は、治療で眼圧を下げても視野障害が進行する人が少なくありません。そこで、緑内障の研究において、眼圧以外の原因である、加齢、血流、酸化ストレスなどのさまざまな因子の中から酸化ストレスと血流についての研究が特に注目されています。
「酸化ストレス」とは、老化や心身の疲労とストレス、睡眠不足、喫煙、有害光である紫外線やブルーライトなどにより悪玉物質である活性酸素が発生し、それが引き起こす生体に有害な作用のことです。健康な人体には抗酸化力があり、活性酸素を除去したり、障害の抑制や修復を繰り返しています。しかし、抗酸化力が弱まり、活性酸素が増えてくると抗酸化システムのバランスがくずれて「酸化ストレス」が著しく増大するという事態が起こります。

眼の健康に役立つ、話題の成分「フィトケミカル」

このように活性酸素が過剰に溜まってしまうことで、私たちの眼と体が酸化してサビついてしまう「酸化ストレス」は、眼と体に数多くの病気をもたらします。それを防ぐためには、抗酸化力の高い食品を積極的に食べるように心がけたいものです。
抗酸化作用の高い物質として、最近注目されているのが「第七の栄養素」といわれる「フィトケミカル」です。フィトケミカルは、緑黄色野菜や果物の色素や香り成分、辛味や苦味成分の中に含まれる機能性色素成分です。
中でも眼と体の健康に役立つといわれる主な成分が、アントシアニン、カカオポリフェノール、ヘスペリジン、ルテイン、アスタキサンチン、リコピン、カテキン、レスベラトロールなどです。

眼への健康効果が期待される主な「フィトケミカル」

アントシアニン

カシス、ビルベリー(野生型ブルーベリー)など

カカオポリフェノール

高カカオチョコレート(カカオの含有量70パーセント以上)

ヘスペリジン

ミカンの皮や内側の白いスジ

アスタキサンチン

サーモン(サケ)、イクラ、オキアミなど

ルテイン

ブロッコリーやスプラウト、ケール、ホウレンソウ、芽キャベツ、パプリカ、カボチャ、パセリ、小松菜などの緑黄色野菜

カテキン

緑茶、紅茶、ウーロン茶、番茶、ほうじ茶など

レスベラトロール

赤ブドウの皮や種、赤ワイン、ピーナッツの皮など

アントシアニン

カシス、ビルベリー(野生型ブルーベリー)、赤ブドウや黒豆や赤米(古代米)の皮などには、強い抗酸化力を持つポリフェノールの一種で、「アントシアニン」という青紫~赤紫色の色素成分が含まれています。
すでにヨーロッパでも、アントシアニンは、頑固な疲れ眼(眼精疲労)や糖尿病網膜症、夜盲症といった眼の病気を改善する医薬品としても用いられています。
また、ブルーベリーのサプリメントについては、原料がビルベリー(野生型ブルーベリー)であることをぜひお確かめください。栽培型のものに比べ、約10倍ものアントシアニンが含まれているからです。
事実、海外の研究でも正常眼圧緑内障の症例に対するビルベリーアントシアニンの臨床研究において、二年間の長期継続摂取の結果、ビルベリーアントシアニンによる視野障害の抑制効果が明らかになりました。また、アントシアニンをお茶に含まれるカテキンと一緒にとると、アントシアニンの働きが増すという効果も知られています。
さらに、ビルベリーアントシアニンと松樹皮エキス(ピクノジェノール)の配合サプリメントの摂取により、緑内障患者における酸化ストレスの低減化と眼血流改善効果と共に眼圧下降効果も確認されています。
このビルベリーアントシアニンと松樹皮エキス(ピクノジェノール)の配合サプリメントも眼科専門医の指導の下で販売されています。

  • 松樹皮
  • ビルベリー

驚き!カシスアントシアニンの血流改善効果

アントシアニンを多く含むといわれるのがブルーベリーですが、その3倍も含まれていることで注目されているのがカシスです。カシスには4種類のアントシアニンが含まれており、そのうち「シアニジン」などの2種類はカシス特有のもので、ブルーベリーには含まれていません。
札幌医科大学眼科の大黒教授グループの研究によると、カシスから抽出したアントシアニンを正常眼圧緑内障の人30人に、毎日50ミリグラムずつ半年間飲んでもらったところ、網膜や視神経の血流量が平均20パーセント増えるとともに眼圧上昇も抑えられたという成果が報告されました。また、治験終了後に眼が疲れにくくなったり、「視界が明るくなった」という自覚症状の改善効果も見られたのです。
さらに、日本の眼科病院として140余年という最も歴史のある井上眼科病院(東京都)でも、井上賢治院長の下で正常眼圧緑内障の患者さんにカシスアントシアニン50ミリグラムの摂取と点眼薬を併用した二年間もの長期の治療研究を行ない、カシス摂取による視野障害の進行抑制効果が明らかになりました。
また、日本カシス協会の調査によるカシスアントシアニンの健康な人の眼圧に与える影響を調べた研究でも、摂取前との比較で明らかな眼圧の低下が認められたことが確認されています。
緑内障は、初中期では自覚症状がほとんどないため、気付くのが遅れがちですが、日ごろの健康習慣としてカシスアントシアニンをとることで、緑内障の進行を抑えるだけではなく、健康な人の緑内障予防にも有用であることが立証されたわけです。
さらに付け加えると、カシスアントシアニンには、多くの女性を悩ませる冷え性や瞼の皮膚の血流の停滞によるクマなどにも顕著な改善効果が認められています。
カシスはフランス語の呼び名です。日本語ではクロスグリ、英語ではブラックカラントといいます。
なお、眼科専門医の指導の下でもカシスアントシアニンのサプリメントが販売されています。

カシス
カカオポリフェノール (高カカオチョコの「小分け食べ」による多くの有用性)

植物の持っている多くのポリフェノールの中でも高カカオチョコレートに含まれるカカオポリフェノールは飛び抜けて抗酸化力が高く、古来より滋養強壮の妙薬としても眼と体に非常に有用に働くことが知られています。その多彩な優れた効用は、世界的にも有名なイタリアのサン・サルバトーレ病院での臨床研究の成果から一躍世界に知れ渡りました。
カカオ含有量70パーセント以上の高カカオチョコレート25グラムを、1日5回5グラムずつに分けて3ヵ月間食べ続けたところ、肝臓の健康度を表す数値が改善し、さらにコレステロール値までもが改善したのです。
さらにこの習慣を続けると、インスリンの分泌が良好となって血糖値も改善し、脂肪の燃焼による内臓脂肪の減少とともに血圧も安定することが明らかになりました。
また、カカオのリグニンという豊富な不溶性の食物繊維には、糖の吸収をゆるやかにして血糖値の急上昇を防ぐ働きや腸内環境を良好にして便通を改善する働き、脳の活性化による認知症を予防する働きがあることも判明したのです。
なお、ポリフェノールは体内にためておくことができません。このため1日に25グラムの高カカオチョコレートを1日に5回に分けて5グラムずつ「小分け食」で食べる方法をお奨めします。
また、高カカオチョコレートを使って作った寒天、「チョコレート寒天」は食事前に食べると満足感が得られるため、食欲を抑えるという相乗効果も期待できます。
このように、日常的な高カカオチョコレートの「小分け食」によりカカオポリフェノールを継続摂取することで、その高い抗酸化力と血流改善作用により、緑内障や白内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性など多くの眼の成人病にも予防と進行抑制効果が特に期待され、当院でも多くの症例での病状の改善が認められています。
ところで、高カカオチョコレートは、「苦い」や「食べにくい」などの第一印象をお持ちの方も多いのですが、各メーカーからとても美味しく食べやすい高カカオチョコレートも発売されていますので、患者さんの病状と体質や味覚に合う商品を選んで適量を継続して摂取するようにお奨めしています。

カカオとカカオパウダー
ヘスペリジン(ミカンの皮や内側の白いスジの成分)が視神経を酸化ストレスから守る

緑内障も、酸化ストレスがもたらす病気の一つです。酸化ストレスを減らす食品の中で、ミカンの皮や内側の白いスジに多く含まれるポリフェノールの一種、「へスペリジン」が注目されています。
ミカンの皮の成分であるヘスペリジンが、緑内障の原因となる視神経細胞死を抑えることが判明したからです。しかも、緑内障の研究でヘスペリジンを摂取することで、網膜神経の細胞死が半分以下にまで抑えられることが確認されたのです。さらに、酸化ストレスを受けてもヘスペリジンの摂取により、酸化ストレスが約四分の一に低減されました。
有害光である紫外線やブルーライトを直接受ける上に酷使されがちな眼は、常に酸化ストレスにさらされています。このため、手軽に手に入るミカンの皮などの摂取により酸化ストレスを減らし、緑内障の予防や抑制に努めることは非常に有用であると考えられます。無農薬栽培のミカンの皮をあぶって粉末にし、一味唐辛子と混ぜると良い香りの薬味になります。あるいは、果実と一緒に砂糖を含まないカロリーゼロのアスパルテーム(商品名・パルスイート)などの甘味料を入れて煮込み、マーマレードにしても良いでしょう。なお、緑内障の患者さんの場合、高濃度配合のヘスペリジンを含む眼科専用のサプリメントも販売されています。東北大学医学部眼科での研究成果でも眼科専門医の指導の下での継続したこのサプリメントの摂取により酸化ストレスを低減化することで、緑内障の予防と進行の抑制にもその有用性が報告されています。

ルテイン

「ルテイン」は、ブロッコリーやスプラウト、ケール、ホウレンソウや芽キャベツ、カボチャ、小松菜などの濃い緑黄色野菜やマリーゴールドなどに含まれる、非常に抗酸化作用の強い黄色や橙色の色素成分です。このように、緑黄色野菜に多く含まれるルテインは、紫外線やブルーライトによるダメージから眼を守る色素成分で、抗酸化作用のとても強いカロテノイド系のフィトケミカルです。後述するアスタキサンチンと同様、網膜や水晶体に存在し、紫外線やブルーライトなどの有害光から眼を守っています。
いずれも加齢とともに減少していく上に、体内ではつくることができないので、食品から積極的にとり入れて補うようにしましょう。事実、体内にとり入れたルテインの約80パーセントが眼に吸収されます。それだけ眼にとっては非常に重要な抗酸化成分なのです。
すなわち、緑内障においても、初期段階から網膜の最も重要な黄斑部の神経線維が障害されることがわかっており、緑内障の患者さんにとってもルテインの継続摂取は非常に有用であると考えられます。
ルテインの1日の摂取量の目安は、加齢黄斑変性や白内障を予防するための推奨量として1日6ミリグラム以上とされていますが、すでに黄斑変性が発症したり、その前駆病変が認められている場合には、その進行を特に抑えるために10ミリグラム以上の継続摂取が推奨量とされています。
なお、ルテインのサプリメントは多く市販されていますが、眼科専用のサプリメントも販売されており、製品選びは患者さんご自身の病状と治療目的にもよりますので眼科専門医にご相談ください。

スプラウト
アスタキサンチン

アスタキサンチンもルテインと同様に網膜や水晶体に存在し、高い抗酸化からその保護効果が期待されています。ビタミンEのなんと約1000倍もの強力な抗酸化作用を持つことから、「スーパーカロテノイド」と呼ばれています。1日0.6ミリグラム以上というわずかな量でも効果があり、網膜にある黄斑部の障害を防ぐ効用と視力の向上効果も報告されています。また、眼精疲労の改善にも有用であることが知られています。
このようなアスタキサンチンの強力な抗酸化力によって、眼の酸化ストレスを消去し緑内障の予防と進行を抑える効果も期待されています。
アスタキサンチンは、サーモン(サケ)やイクラ、エビ、カニなどに含まれる桃赤色の色素成分で、血中の悪玉コレステロールの酸化を抑える効果もあります。また、網膜の血管の炎症を医薬品の抗炎症薬と同程度まで抑える力があることも判明しています。
その抗酸化力は、サーモンが川の浅瀬を遡上する際、その浅瀬に産みつけたイクラの卵にも含まれ、強烈で有害な紫外線から自身を守るための抗酸化色素として役立っているのです。
1日の目安量は、1〜10ミリグラム(4ミリグラムが推奨量)で、過剰症は認められていません。また、ルテインと併せて摂取すると、その相互作用による抗酸化力が20パーセント以上アップすることも確認されています。

サーモン
リコピン

「リコピン」は、トマトやニンジン、スイカなど、赤やオレンジなどの赤橙色野菜に含まれる赤橙色の色素成分です。
その抗酸化力は、β―カロテンの2倍以上、ビタミンEのなんと100倍以上です。このため、リコピンの摂取による乳癌予防などの癌の予防効果の報告も多いだけでなく、同時にリコピンの血中濃度が高い人では、白内障の発生率が低いという研究成果も確認されています。そこで、リコピンの強力な抗酸化作用による緑内障の予防と進行の抑制効果も期待されているのです。
1日に摂取するリコピンの目安量は6〜12ミリグラムで、例えばトマトジュース1缶(240ミリリットル)にはリコピンが23ミリグラム程度含まれています。
ただし、タバコを吸う人や心身のストレスの多い人、睡眠不足や紫外線やブルーライト、排気ガスなどの活性酸素を浴びやすい生活習慣や環境にある人は、多めに摂ることが望まれます。

カテキン

お茶の苦味や渋味の成分であるカテキンは、アンチエイジングに有用な抗酸化力をもつフラボノイドの1種です。特に、活性酸素の中でも最も凶暴であるとされる「ヒドロキシラジカル」に対して、非常に大きな効力を発揮します。さらに、ビタミンCやビタミンEの抗酸化力をアップさせる効果も知られており、緑茶が眼と体に良いというのはこのためです。また、カテキンの抗酸化力は、ビタミンCによってさらに強まるため、すべてが豊富に含まれている緑茶は、日常的に飲み続けたい飲料です。なお、緑茶をそのまま粉末にした粉茶をお湯などに溶かして、カテキンをまるごと摂取するのもより効果的な方法です。

レスベラトロール

赤ブドウの皮や種、赤ワインやピーナッツの皮に含まれるポリフェノールの1種で、健康長寿を促す「長寿遺伝子」にスイッチを入れて活性化させるなど、健康長寿と運動能力の向上作用が知られ、世界の医学会の注目を集めています。
以前から赤ワインの健康効果で知られている通り、赤ブドウや赤ワインに含まれるポリフェノールが、心筋梗塞などの虚血性心臓病の発生を抑えたり、癌などの生活習慣病を抑制し、さらに、アルツハイマー病の予防に役立つことが判明しています。肉などの動物性脂肪を多く摂取するフランス人が赤ワインを日常的に飲む習慣により他の西欧諸国に比べて心臓病による死亡率が低いことから、「フレンチパラドックス」と呼ばれ、このポリフェノールによる抗酸化作用によるものであるとされています。すなわち、赤ワインを毎日グラス1〜2杯ほどの適量だけ飲むことによって、このような生活習慣病の予防に役立つことがわかっているのです。
さらに最近、このレスベラトロールを継続して摂取することで、眼内の網膜の血管の炎症や動脈硬化も抑えられ、血流が改善されて、眼と体の健康長寿に有用であり、緑内障の予防と進行抑制にも役立つことがわかってきています。
なお、赤ワインや赤ぶどうなどに含まれるレスベラトロールはわずか数ミリグラムと少量であるため、1日150ミリグラム以上摂取できる医療用の高濃度配合のレスベラトロールを含むサプリメントも医師の指導管理の下で販売されています。

カラフルな食材のアンチエイジング食で老化を防ぎましょう!

抗酸化力が強い緑黄色野菜の食材の選び方をご紹介します。
野菜を生育するのに寒暖の差が激しかったり、強い紫外線が降り注いだりするような過酷な自然環境では、活性酸素が発生しやすく、植物にも強いダメージを与えます。ところが過酷な環境であればあるほど、植物も動物もたくさんの抗酸化色素物質を作り出します。つまり、カラフルな食材の色鮮やかさは、強い活性酸素に対抗するために多くの抗酸化色素物質を作り出しているからなのです。
同じ食材や果物でも、ビニールハウスで栽培されたものではなく、路地でより成熟したものを選ぶなど、激しい環境で育った食材の方がおすすめです。さらに、旬のものを選ぶことも大切で、野菜や果物の成分も、旬の時期と旬でない時期とでは大きく違います。例えばホウレンソウ、トマト、ピーマンなどのフィトケミカルやビタミンCの含有量も、旬以外の時期では3分の1程度までに低下するといわれています。
もう一つのポイントは、強い紫外線による活性酸素から身を護るという意味では、1つの固体でも部位によって抗酸化力が異なります。例えば果物なら、最初に紫外線にさらされるのは皮の部分ですから、当然、抗酸化色素物質は「実」よりも「皮」に多く含まれています。すなわち、リンゴなど皮も食べられるものは、できるだけ皮とそのすぐ下の部分も捨てずに食べるようにしたいものです。

緑黄色野菜の王様・ブロッコリーのチカラ

カロテノイド系の成分を多く含む緑黄色野菜の中でも、なんと250種類以上もの「フィトケミカル」が含まれている「老化防止の王様」ともいわれるのがブロッコリーです。野菜の中でも、ブロッコリーほどフィトケミカルを含んでいるものはないといえるでしょう。また、ブロッコリーの新芽であるスプラウトはさらに数倍多くのフィトケミカルを含んでおり、継続した摂取が推奨されます。
ブロッコリーやスプラウトに含まれる有効成分として、フィトケミカルの中でも眼と体のサビを防ぐ抗酸化作用が特に強い代表選手である「スルフォラファン」に加えて眼の黄斑部と水晶体を保護する「ルテイン」、癌を予防する抗腫瘍作用と発癌防止効果のある「イソチオシアネート」という成分も含まれています。また、豊富な「ビタミンC」に加えてミネラルの一種で血糖値を下げるインスリンの働きを応援する「クロム」や、胃潰瘍を防ぐ「ビタミンU」、加えて、食物繊維も豊富なので、動脈硬化や便秘予防にも有用です。
ブロッコリーやスプラウトをより効果的に食べるには、小房に分けて、ビタミンCが壊れないように短時間で茹でることです。塩を加えると色鮮やかに茹で上がります。ブロッコリーは房の部分を切り離して食べますが、茎にビタミンCや食物繊維が多いので、茎も皮をむいて同じように食べるとよいでしょう。茹でるなら三分ほどで短めにしましょう。
また、ブロッコリーやスプラウトに含まれるスルフォラファンは咀嚼などによって細胞が壊されないと生成されないので、よく噛んで食べることやジューサーでジュースにして摂取することもポイントです。

ブロッコリー

リンゴが含むポリフェノールのチカラ

リンゴには健康に役立つさまざまなことわざがあるほど、老化を防止するアンチエイジング効果のある成分がたくさん含まれています。リンゴ一個の中に、「プロアントシアニジン」、「カテキン」など種々のポリフェノールが詰まっているのです。このポリフェノールが、リンゴの色や苦味を作っているわけです。
リンゴに含まれるこれら多くのポリフェノールは、特に皮のすぐ下や種の周囲の芯の部分に凝縮されているので、皮や芯の部分を分厚くむいてしまうと少なくなってしまうのです。したがって、農薬などをよく洗い流してなるべく皮ごと食べたり、できるだけ粗挽きのジューサーでジュースにして摂取するのが効果的です。

抗酸化成分で活性酸素を消去する緑黄色野菜の摂取法

緑内障の人は、普段から抗酸化成分をたっぷり含む緑黄色野菜をとるように心がけましょう。特に睡眠不足や心身のストレスなどで活性酸素が大量にできると、網膜や視神経が障害されやすくなります。そうならないためにも、抗酸化成分を食べることが大切です。実際、緑黄色野菜などを食べることによりビタミンCとビタミンEなどとともに抗酸化色素成分である多くの種類のフィトケミカルが摂取でき、緑内障のリスクが2〜3割も低くなるという研究成果が報告されています。よく、「毎朝野菜サラダを食べているから」と安心している人もいますが、サラダだけでは抗酸化成分は不足しがちになるものと思ってください。その点、スルフォラファンとルテインを多く含むブロッコリーやスプラウト、ケールやほうれん草、小松菜、リコピンを多く含むトマトなどの多種類のカルテノイドを含む緑黄色野菜をスムージーにすると、楽にたくさんとることができます。
スムージーなら生のままミキサーにかければできますし、「アントシアニン」を含むビルベリーやカシスなどの低糖フルーツ適量のリンゴやキウイフルーツ、高カカオチョコレートや無糖のプレーンヨーグルトや豆乳、少量のハチミツなどを加えて好みの味にしても良いのですが、砂糖など糖分は極力控え目にしましょう。
砂糖を含まないカロリーゼロのアスパルテーム(商品名・パルスイート)などの甘味料の利用もお奨めです。抗酸化成分のうちポリフェノールやビタミンCなどは水溶性のため、時間とともに特に壊れやすいので、1度に飲みきれる量をつくって、毎朝コップ一杯程度を早めに飲むようにしましょう。
なお、朝などの時間に余裕のない人は、緑黄色野菜を多く含む20〜30種類の野菜が濃縮された野菜ジュースの商品を上手に組み合わせての摂取継続をお奨めします。
また、ルテインやリコピンなどのカロテノイドを多く含む野菜を使って調理する場合には、油に溶けると吸収率が高まるので、オリーブオイルや亜麻仁油などの良質な油を適量加えると効果的です。

眼の血流を改善して緑内障を抑制する

視神経周囲の血流をよくする青魚や小魚の食事とサバ缶

現代人はサバやイワシやシラスなど、小魚などの青魚を食べる機会が著しく減少しています。そのため、主に青魚や小魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)が不足しているといわれます。どちらも体内の機能にとって欠かせないオメガ3という不飽和脂肪酸の一種ですが、人間の体内ではつくれないので食品として摂取する必要のある必須脂肪酸です。
特にDHAを多く必要とするのが、眼の中のフィルムに当たる網膜と視神経の脂肪組織で、約80パーセント以上がDHAによって構成されています。そのほかDHAは、脳神経や網膜、視神経などといった高度かつ重要な神経組織に多く存在し、視神経の伝達にかかわる大切な栄養素なのです。
これらDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸は、イワシ、サバ、サンマ、アジ、カツオ、マグロなどの青魚やシラスなどの小魚の油に含まれています。この種の脂肪酸は、水中の低温にさらされても固まらず液状を保つ特性により、血流をスムーズにします。
そのため、動脈硬化の原因となる血中の悪玉コレステロールを減らし、中性脂肪も減少させて、血管の炎症や血栓ができるのを防ぎます。
特に小さな器官である眼は、血管も極めて細く、その微細な血管を通して栄養物質が供給されているため、眼内の血流をサラサラに保つことが大切です。
DHAとEPAを日常的に摂取すれば、糖尿病網膜症(糖尿病によって網膜に障害が生じる病気)、加齢黄斑変性(加齢とともに黄斑という組織がダメージを受けて変化し視力の低下を招く病気)など、網膜の血管の動脈硬化や血栓などによる重症の視覚障害を予防できます。
さらに、わが国でも中高年に多い正常眼圧緑内障の進行の抑制にも、その有用性が特に期待されています。この正常眼圧の緑内障では、視神経の血流障害が問題になっており、同時に視神経自体が弱いことが関係していると考えられています。最近では、視神経周囲の細い血管の血流を改善することが、正常眼圧緑内障には有効であるとわかってきました。このため、DHAやEPAの摂取が非常に大切になるわけです。
実際、DHAとEPAを継続して摂取することで視力が改善したという研究成果もあり、さらに、その抗炎症効果によりドライアイの改善にも役立つことが英国の権威ある著名な医学雑誌でも報告されています。
青魚を手軽に摂取する方法として、イワシやサバなどの缶詰もおすすめです。缶の中の汁にDHAやEPAが溶け出しています。水煮缶を利用すると、塩分を気にせずに汁も一緒にとることができます。
また、シラスなどの小魚は、味噌汁に入れたり、納豆と合わせてご飯と一緒に毎日継続して食べるなど料理にも活用することで、効果的なDHAの継続摂取が可能となり、お奨めの方法です。
魚が苦手な人は、DHAやEPAが手軽にとれるサプリメントを利用するのも良いでしょう。ただし、一度に必要以上をとり過ぎると、おなかがゆるくなって下痢をしたり、月経血の量が増えることもありますのでご注意ください。
年齢を重ねるごとに血管は酸化ストレスを受け、サビついていきます。それが血管の老化であり、すなわち加齢の始まりです。40歳を過ぎたらなるべく毎日、小魚や青魚を食べるようにしたいものです。

納豆の酵素が目の血栓を防ぎ、溶かす!

眼の血流が悪くなると、眼底の視神経や網膜への酸素や栄養の供給が滞るために緑内障の原因になります。さらに血液がどろどろになって滞り、血栓ができてしまうと「網膜静脈閉塞症」や「網膜動脈閉塞症」という眼の血管が詰まってしまう病気まで引き起こします。これらの眼病も視野の一部が欠けて見えにくくなり、視覚障害に陥ることの多い病気です。
眼と体の血管障害をもたらす血栓を溶かす有用な効果として、納豆の効能が知られています。これは、納豆に含まれる「ナットウキナーゼ」という酵素が、血栓を溶かす作用をもっているからです。ナットウキナーゼには、血栓の治療薬とほぼ同レベルの効果があるといわれ、さらに血栓をつくるフィブリンという物質を直接分解する作用もあることが分かっています。また、わずか一ヵ月で正常な血管に戻ったという臨床報告も出ています。
納豆は血液をサラサラにしますから、緑内障や網膜血管閉塞症のみならず、眼精疲労に悩む方々にもおすすめです。食品なので副作用の心配もなく、全身の血流アップを促して健康を保ちます。
朝ご飯に納豆という家庭も多いようですが、実は納豆は夜食べたほうが効果的です。ナットウキナーゼの血液サラサラ効果の持続時間は約12時間で、血栓は就寝中の脱水などで朝方にできることが多いからです。
但し、抗血液凝固剤のワーファリンを服用している人は、納豆を控えたほうがよいでしょう。納豆に含まれるビタミンKが薬の効き目を阻害するからです。

緑内障を防ぐ湯通しキャベツ

緑内障の発症と進行に関わる酸化ストレスを減らす抗酸化成分を多く含む食品の一つとして、米国のハーバード大学の研究結果から推奨されているのが、1日2回キャベツなどの葉物野菜を食べることです。
緑内障のリスクとして、眼の血流の低下が挙げられますが、血管を拡張させて血流をよくしてくれるNO(一酸化窒素)が緑内障の予防や治療に効果があると注目されています。キャベツなどの葉物野菜に多く含まれるのが硝酸塩ですが、これは体内に入るとNOに変わります。
ハーバード大学の調査研究では、緑内障ではない40歳以上の男女約10万人に、キャベツなどの葉物野菜に多く含まれる硝酸塩の摂取量とその後の緑内障の発症率を調べました。すると、キャベツなどの葉物野菜を毎日多めにとっている人のほうが緑内障になりにくいという結果が出たのです。キャベツなどの葉物野菜は、生で食べるよりも湯がいたほうがたくさん食べられます。それに、葉の中に残留している有害物質も、ゆでるとかなり減らせますし、硝酸塩が機能を失うことはありません。キャベツなどの葉物野菜の量を効率良く美味しく摂る方法として、湯通しした後、カロリーハーフのマヨネーズなどであえて酢油キャベツ風などにして食する工夫もお奨めです。

湯通しキャベツ

「シナモン」で血流改善

焼きりんごなどのスイーツには欠かせない香料「シナモン」。最近は、コーヒーや紅茶に一振り入れる人も多いようです。シナモンは漢方薬にも使われており、体を芯から温めてくれる「桂皮」の名で知られています。
中高年になるとほとんどの人は体が冷えやすくなるため、シナモン入りの飲み物を飲むと、体が温まって代謝が向上します。眼についていえば、代謝が向上することで網膜と視神経の血流が改善し、眼圧も安定するため、特に正常眼圧型などの緑内障の進行抑制にも有効であると考えられます。

シナモン

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