むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

ご予約・お問い合わせはお電話で

0964-22-6600

アクセス

Cataract 白内障

07.健康保険のみで可能な高機能付加価値眼内レンズと単焦点眼内レンズの勧め

一生に一度の選択故に、ご自身の生活スタイルと希望の見え方の実現に向けた最賢の眼内レンズ選択のために

健康保険のみで可能な単焦点眼内レンズの費用

全て健康保険制度内で適用できる低額で済む眼内レンズ
単焦点レンズの中にもいくつかの種類があり、特に最近では、遠方から中間距離までの広い明視域のある高次機能の付加価値レンズが登場しています。それでも、単焦点レンズの費用はすべて健康保険が適用されますので、低額の一部自己負担金のみの支払いとなります。
これに対して、多焦点レンズの費用には、保険以外の高額な自己負担分が発生します。
多焦点眼内レンズの中でも、厚生労働省の定める「選定療養」に認定されているものについては、高額な追加費用が自己負担分ということになります。この場合、白内障の手術自体については単焦点眼内レンズと同じく保険が適用されます。しかし、日本眼科学会の指針で決められた規約として、①使用する多焦点眼内レンズと通常の保険適用の主な眼内レンズとの差額の実費代金、および②手術前後の所定の検査代金、さらに③医療従事者による手術の説明手数料などについては自己負担となります。しかも、この自己負担の費用については、各眼科施設により相当大きな金額差があり、時として思いの他の非常に高額の費用が請求される場合もあります。
このような多焦点レンズをめぐる費用の問題点については、第8章で詳しく解説することとします。(→8章へ移動する
それ以外の厚労省の薬事未承認の多焦点眼内レンズは完全な自由診療の場合には保険適用にはならないため、費用は全額の自己負担になります。このため、非常に高額な自己負担が必要となります。
このように見てくると、単焦点レンズの方が合理的な金額(低額)での手術が可能です。
これについて、患者さん自身も大きな思い違いをされている場合が多々見受けられます。すなわち、レンズの名称に惑わされて、「従来の『単焦点眼内レンズ』よりも、高額な『多焦点眼内レンズ』の方が優れているのではないか?」という誤解です。
しかし、実は健康保険制度内で全て適用できる眼内レンズの方が多焦点眼内レンズ特有の「不快光視現象」などの副症状の心配も無く、しかも、患者満足度に最も関係する「コントラスト視力」(見え方の鮮明度)も多焦点レンズよりもはるかに優れており、手術後にほぼ不自由ない快適な視生活を提供できています。
一部には、「単焦点レンズは合うピントが1ヵ所だけ」などとして、「多焦点レンズが良い」などと喧伝して高額な多焦点レンズを巧妙に勧める眼科医や眼科施設もあります。しかし、多焦点レンズによるコントラスト視力の低下(全視界でのぼやけ・かすみ)やさまざまな不快光視現象(ハローとギラつくグレアやスターバーストなど)、手術後の加齢や眼病の発症による全距離での視力低下など数多くの副症状を有するとともに、多焦点レンズが適さない数多くの患者さんも少なからずおられるのです。これについても、詳しくは第8章(→8章へ移動する)で解説します。
一方で、単焦点レンズの機能も非常に向上しており、さらに第9章で後述する当院の手術法「コンフォート・モノビジョン法」®などにより数多くの患者さんが広い明視域による快適な視生活を取り戻しておられます。

健康保険のみで可能な単焦点眼内レンズ及び高機能付加価値眼内レンズの手術費用

当院は外来での日帰り手術のため、老人保険及び高齢者保険(70歳以上)での自己負担限度額(月額)で済みます。

当院窓口のお支払いは、外来での日帰り手術のため、入院とは違い費用も低額で済みます。即ち、一般の方は18,000円、低所得の方は8,000円(但し、一定以上所得の方は3割負担となります下記を参照ください)。

手術給付金のある生命保険の給付は、日帰り白内障手術も「水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)」として適用となります。

手術給付金のある生命保険での給付は、日帰り白内障手術でも可能です(現在、郵便局などの簡易保険を除く、ほとんどの生命保険で日帰り手術も手術給付金の適用となります)。

ご負担の割合 ご負担金額
(令和4年4月現在)
1割及び2割負担
(低所得)
8,000円
1割及び2割負担
(一般高齢者)
18,000円
3割負担 40,000円程度
70歳以上の人/高額療養費(高額医療費)の自己負担限度額について

同じ月内に医療機関に支払った自己負担額の合計が高額になった場合、申請をして認められると、自己負担限度額を超えた分は高額療養費(高額医療費)として支給されます。70歳以上または老人保険で医療を受ける人は右表のような自己負担限度額となります。(但し、一定以上の所得の方は3割負担となります。)

自己負担限度額 (月額)

外来(個人単位)
一般 8,000円
低所得者II 18,000円
低所得者I
70歳未満の人/高額療養費の自己負担限度額について

同じ人が同じ月内に、同一の医療機関に支払った自己負担額の合計が高額になった場合、限度額認定書を申請し医療機関に提示することで、自己負担限度額を超えた分は高額療養費として支給されます。

【手続き方法】

国民健康保険の方

市役所(役場)へ国民健康保険証と印鑑を
持参し、事前に申請してください。

社会保険(全国健康保険協会・
政府管掌)の方

全国保険協会へ保険証と印鑑を持参し、事前に申請してください。
【お問い合わせ先】全国健保協会(TEL:096- 340- 0262)

単焦点レンズにも、遠方から中間距離までの広い明視域のある高機能レンズが登場

白内障の手術後に自分が理想とする視生活を送れるかどうかは、いかにご自身の生活に合った眼内レンズと適正な度数を選ぶかにかかっています。しかし、どのレンズと度数が自分に最も合っているのか、なかなか決められるものではありません。ご自身の普段の生活を振り返っても、運転などで遠方を見ることが多いのか、あるいは、テレビや調理などの家事、食事、パソコンなど中間距離を見ることが多いのか、あるいはデスクワークなどの近業や細かい手仕事で近方を見ることが多いのか、考えれば考えるほどいずれの距離も必要に思えてきてしまいます。こうして迷った末に、「値段の高い眼内レンズの方が良いのではないか?」とか「同じ多焦点眼内レンズの製品でも高い金額表示の眼科の方が良いのではないか?」などと大きな思い違いしてしまう方も多いのです。
しかし、全ての眼内レンズにメリットとデメリットがあることを忘れてはいけません。眼内レンズの選択のポイントは、決して高い金額にあるのではないのです。患者さんがどのように見えるようになりたいか、どのような距離で見えるのが最も快適かを見極めることが大切であり、選択の優先順位は患者さんの見え方の希望なのです。
若いころの水晶体とは違って、どこにでも焦点の合う眼内レンズ、全ての希望を叶える眼内レンズは、たとえどんなに高額なレンズであっても存在しません。人間の水晶体は自然に厚みを調整して、見たい物に自在にピントを合わせることができますが、白内障手術で置き換えた眼内レンズは、どんなに高額なレンズであってもピント調節機能を取り戻すことはできないのです。
最近では、非常に高額なレーザー白内障手術の機械やデジタル機器を導入した白内障手術や、高額な多焦点眼内レンズによる手術を喧伝する眼科も増えてきてはいますが、ここ数年でこのようなレーザーやデジタル機器による白内障手術や高額な多焦点レンズにも、さまざまな副症状のデメリットや手術後のリスクもあることが分かってきました。
このような事実をよく理解した上で手術を受けなければ、「せっかく高額な多焦点眼内レンズにお金をかけたのに、望んでいたような見え方にならない」と不満だけを持つ人も少なくない実態が明らかになっています。
当院では、手術前に眼内レンズの度数や種類決定のための患者さんへの希望アンケートをお願いしています。
目標とする見え方に合う眼内レンズの度数を決める参考とするために、患者さんが特に重要視している視距離や生活習慣、並びに現時点でのメガネやコンタクトレンズでの矯正状況について確認します。肝心なのは、患者さんのライフスタイルにとって、どの視距離が最も大切なのかを割り出すことに尽きると言えます。
日本眼科学会総会で講演された北里大学医療衛生学部の川守田拓志准教授による調査研究報告によると、白内障手術を受ける高齢者の皆さんの日常生活での視距離に関する調査研究において、調理や食事以外 でもテレビやパソコン画面を見たり、買い物時にスーパーの値札を見たり、運転時にもカーナビやメーターを見るなど、遠方から中間までの距離を見る機会が意外に多いことが分かっています。
普段は当たり前のように取っている作業距離や視距離は、本人が考えている以上に重要なのです。医師には患者さんの日常生活や視生活などに関するいろいろな情報が必要です。患者さんのほうでも、自分を理解してもらうためにご自身の日ごろの行動パターンを記録して、どの距離での見え方を希望するかを具体的に伝えていただくことが、満足のいく手術を受けるためにも非常に大切なことなのです。そのため当院でも、このような希望調査とともに手術前の念入りな問診や事前の個別説明会の時間を複数回設けています。

これまでは、高額な多焦点眼内レンズを入れても、ぼやけやかすみなどコントラスト視力の低下に加えて不快光視現象も生じて、不満を抱えたまま老後の生活に耐えざるをえない方も少なくありませんでした。しかし、最近では進化した付加価値ある単焦点眼内レンズなどが複数登場して、多くの患者さんの快適な老後の視生活に役立ち喜ばれています。費用は全て保険適用で一部自己負担金のみの低額で済みます。しかも、このような新しい高次機能を有するレンズは遠方から中間、そして近方近くまで裸眼で鮮明に見えやすい明視域の広い眼内レンズなのです。

  • 柔軟な最新の高品質眼内レンズ <AMO 社提供>
    (費用は全て保険適用で一部自己負担金のみの低額で済みます)

全て保険内で広い明視域を実現する「低加入度数分節眼内レンズ」( レンティス・コンフォート )

2焦点眼内レンズでありながら、通常の全て保険適用のみでの手術を受けることのできる画期的な2焦点眼内レンズとして脚光を浴びているのが「低加入度数分節眼内レンズ」です。分節型というのは、上半分が遠方に、下半分が中間距離にピントの合う厚生省の薬事承認の高機能レンズ(製品名「レンティス・コンフォート」=参天製薬)です。このレンズは、高額な多焦点眼内レンズの副症状であるぼやけやかすみ、コントラスト視力の低下などの不快症状の心配もなく、遠くから中間域まで広い明視域の視生活が可能になります。しかも、両眼手術の場合には、両眼の相乗効果によりさらに近方約40cmまで明視域が広がることも報告されています。ただし、顔を近づけて文字を見る習慣のある方は、弱い度数の老眼鏡やハズキルーペなどの度数調節機能付きシニアグラスが必要となる場合もあります。このレンズは水との共存により長期的な透明さが期待される親水性アクリル素材です。
第9章で詳述しますが、当院で実施している「コンフォート・モノビジョン法」® の手技では、「低加入度数分節眼内レンズ」で遠方から中間域に止どまらず、さらに近方までの広い明視域を得ることができ、快適な視生活を楽しむことができます。

「高次機能非球面単焦点レンズ」( アイハンス ) も全て保険内で違和感なく快適な視生活が可能に

保険診療内で使用できる上に、遠方から中間域(50cm)まで広い明視域をもつ単焦点眼内レンズが登場しました。「高次機能非球面単焦点眼内レンズ」(製品名「アイハンス」=ジョンソン&ジョンソン社)です。このレンズは多焦点眼内レンズとは違って、コントラスト視力(見え方の鮮明度)も非常に良好で、光が 滲にじんだり白くぼやけて見えるハローやギラツキ現象のグレア、花火の様に光が散る現象のスターバーストなどの不快光視現象や夜間や薄暮の運転時の違和感の心配もなく、遠方から中間域まで生活で最も使用頻度の高い距離での広い明視域が得られる、高次機能の付加価値のある単焦点レンズです。
特に遠方から中間域の距離、すなわち、運転や歩行だけではなく生活に必要な食事、調理、運転時のカーナビやメーターの目視、テレビの視聴やスーパーの価格票の確認、パソコン使用など、高齢者の日常の視生活の調査研究でもかなり高頻度に使用される距離をカバーし、快適な老後の生活を実現するのに有用なレンズとして高く評価されています。多焦点レンズの場合には、遠方から近方までの多くの像を脳で同時に解析する必要があり、眼と脳への負担が大きいのですが、このレンズは65歳以上の高齢者にも安心して使用していただけます。
また、第9章(→9章へ移動)で詳述しますが、当院で発明し実施している「コンフォート・モノビジョン法」® では、両眼の白内障手術を実施する際に、まず優位眼(利き眼)がどちらかを確認して、特に患者さんの希望がない限りは片眼の手術からできるだけ1~2週間以上空け、先に手術した眼とのベストマッチとなる眼内レンズと度数の組み合わせを考えて、もう一方の眼の手術戦略を立てています。このため、高次機能の付加価値を有する「アイハンス」の優位性を生かして、例えば、左右に少し度数の違うレンズを入れて両眼で遠方から近方までに見える広い明視域を確保したり、患者さんそれぞれの日常生活にジャストフィットした快適な見え方を全て保険診療のみで実現できるように努めているのです。

→ 白内障一覧ページへ