Cataract 白内障
06.進化した最新の白内障手術
「極小切開法」(MICS)を実施
これまでご紹介してきたように、白内障の手術はかなり進化しています。そこで当院における最新の手術法を駆使した実際の手術についてご紹介していきましょう。
わずか2ミリで無痛の「極小切開法」(MICS)を実施
眼の手術で患者さんが最も心配される点は「手術に伴う痛み」です。それが「怖い」というイメージにつながってしまう方も少なくないようです。しかし、心配されるまでもなく、当院の最新の白内障手術には数多くの秘訣があり、特に「痛み」を感じることはまずありません。
- 最新の手術法=わずか2ミリの「極小切開法」(MICS)
- 当院で実施している「極小切開法」(MICS)による手術の場合、創口はわずか約2ミリという小さなもので、以前のような12ミリ切開による手術法に比べると、約6分の1程度にまで縮小を可能にしました。
最新の局所麻酔法=眼に優しく、注射しない「無痛麻酔法」®を
局所麻酔法の進歩により、当院では眼に優しい数種類を併用した「無痛麻酔法」を実施しています。局所麻酔というと、長い注射針を刺し込むような過去のイメージを持つ方も少なくないのですが、麻酔法の進歩により、目薬のような点眼麻酔に加えて局所にピンポイントで使用する「テノン内麻酔」や「前房内麻酔」など、患者さんの病状や個性に合わせて数種類の局所麻酔を併用した「無痛麻酔法」を当院では実施しています。
このように、当院では「点眼麻酔」と「テノン内麻酔」、さらに「前房内麻酔」など数種類を併用した最新の「無痛麻酔法」に加えて、患者さんの精神状態を安定させるための手術前の「軽い精神安定剤」の併用や自律神経を安定させる「スーパーライザーP✕」、赤外線ホットパックなどを駆使し、最初から最後まで安心して特に痛みもなく手術を受けることができます。
①「無痛麻酔法」®(安全で痛みのない深部まで長く効く有効な局所麻酔法)
一時的な表面だけの「点眼麻酔」とは違って痛覚のレベルに応じて量を増強でき増強できる持続性のピンポイント麻酔
手術の創口がわずか2ミリ程度の「極小切開法」(MICS)においても、当院では万全を期すために、この「無蒲麻酔法』を全症例に実施しています。
当院では、まず最初に目薬のように優しい点眼薬による麻酔を施してから手術を始めます。これにより、2ミリの極小切開を行なっても痛みは全く感じません。続いて、眼内の細かい手術操作に入る前に「テノン内麻酔」を追加します。これは、結膜の下の「テノン」という場所に薬を注入するだけのもので痛みは全くありません。しかも、テノン内麻酔は、患者さんの個性や痛覚のレベルに応じて麻酔薬の量を調整できるという利点もあります。さらに、デリケートなご性格で痛覚過敏な患者さんには、低濃度の鎮痛麻酔液を眼内に微量注入する「前房内麻酔」も併用した「無縮麻酔法』を実施して万全を期しています。
最初の点眼麻酔は一時的に眼表面だけに効く麻酔なので、持続性があり、かつ、眼の奥まで届くこれらの「ピンポイント麻酔」を追加することで、最後まで痛みをシャットアウトすることができるのです。
なお、局所麻酔の性質上、手術中には眼に触れているという感触はあり、軽い圧迫感やしみる感じがする場合も稀にありますが、手術中や術後に強い痛みを感じるということはまずありません。
②自律神経を安定させ、心身の緊張を和らげる最新の「スーパーライザーPX」療法を無料で手術前に実施し、患者さんの心身の安定化を図る
これまで述べてきた通り、わずか2ミリからの「極小切開法」(MICS)で、かつ、「無痛麻酔法」による無痛の手術であると頭では分かっていても、いざ手術前になるとどうしても性格的に緊張してしまう患者さんもいらっしゃいます。当院では、手術前に最新の「スーパーライザーPX」療法を無料で実施して、患者さんの心身の安定化を図っています。
「スーパーライザーPX」療法とは、無痛で無害な近赤外線を使った最新の光線治療器で、患者さんの首の付け根にある「星状神経節」に近赤外線をピンポイントで照射して自律神経を安定化させ、心身の緊張を和らげる顕著な働きをすることが立証されています。
手術前に緊張して体が冷えると血圧や心拍数が上がったり、神経過敏になって痛みを感じやすくなる場合もありますので、この最新治療機器と遠赤外線ホットパックを駆使して、患者さんの腹部や腰も温めて緊張をほぐすことができ、「安心して心地良く手術を受けることができた」とたくさんの患者さんからご好評を頂いております。
③手術中もスタッフが手をさすりながら患者さんを癒し、自律神経を介して血圧や心拍を安定させて手術を無事成功に導く
患者さんの心身の緊張を和らげる手段としてかせないのが、看護師や医療スタッフによるきめ細かいホスピタリティ(安心感を与えるケア)です。
当院では、安心して手術を受けていただくために、手術中も医療スタッフが患者さんの手を握り、ゆっくりさすりながら副交感神経を優位に保つことで血圧や心拍を安定させます。この方法は白内障手術の世界的な権威であるカナダのギンベル博士の手術センターでのホスピタリティーの手技を当院で踏襲したもので、これにより、痛みを感じることもなく手術を成功に導くことができる方法として高く評価されています。
「極小切開法」(MICS)のメリット
「極小(マイクロ)切開法」(MICS)には多くのメリットがあります。
わずか2ミリからの極小切開の効用として、まず手術による炎症を最小限に抑えることができるだけではなく、創口の治癒も早く、強度も非常に強く保てることです。さらに、術後の乱視も発生せず、より早期に安定した視力の向上を得ることができるのです。
また、極小切開なので、手術のための麻酔は目薬のような優しい点眼麻酔と、テノン内麻酔や前房内麻酔などを併用した当脘特有の「無痛麻酔法」による局部麻酔で済み、眼の周囲への注射なども必要とせず、手術中もほとんど痛みを感じません。さらに、手術時間も通常の症例ではわずか10分程度で終了し、高度の全身疾患を合併した方を除くほぼ全ての症例で、日帰り手術を可能にし、すでに1万2500例以上無事に実施しています。
「極小切開法」の手術で使用されるレンズは、柔軟で高品質の「ソフトアクリルレンズ」と呼ばれ、わずか2ミリほどの極小切開創から挿入できるため、創口の治りも早く、視力の回復も早いのです。
さらに当院では、高額な上にぼやけや不快光視現象などの副症状を有する多焦点レンズではなく、全て健康保険で適用できる眼内レンズで、しかも、遠方から中間まで明視域の広がる高機能眼内レンズを使用し、多くの患者さんの老後の快適な視生活に寄与し喜ばれています。その上、当院で開発した「コンフォート・モノビジョン法』により、これらの高機能レンズをさらに有効に活用することで、遠方から近方まで副症状もなく快適で良好な視力を得ることも可能にしています。
しかも、この「ソフトアクリルレンズ」は、他のすべての眼内レンズと比べて「後発白内障」(再発)が起こりにくいというメリットもあります。そのため、手術後はほぼ一生レンズを取り替える必要がなく、良好な視力を保つことができる有用性も併せ持っています。
当院での日帰り手術の日程は、手術の約2~3時間程前にご来院いただき、手術前の鎮静のための内服薬や自律神経の安定化作用のある「スーパーライザーPX」療法と遠赤外線ホットパックを実施し、その後、消、後に「無着麻解法などを行なった後、10分程度の局所麻酔での手術となります。その後、回復室のリクライニングベッドで数十分の安静と休息の後、眼と体の状態を確認してからご帰いただいています。
新の超音波白内障手術装置(米国製)の「センチュリオン・ゴールド」による熊本で最も進化した最新版モデルを導入し、「スプリット&メルト法」®による安全な核処理を実施
手術の流れに話を戻しましょう。「極小切開法」(MICS)によるわずか2ミリほどの創口から、白内障になっている水晶体を包む前にサークル状の窓を開けたら、次はその中の濁った核や皮質を細かく分解して吸引する核処理の過程に移ります。
当院では、米国アルコン社製の最新の超音波白内障手術装置「センチュリオン・ゴールド」において、熊本でも最も進化した最新版モデルの機器を導入し、安全で痛みのない手術を実施しています。
わずか約2ミリの切開創から超音波チップの細い管を挿入して、核や水晶体を破砕するために超音波を振動させます。従来の手術機器では、このとき超音波チップが発熱し、眼内に挿入した部分の組織に局所的な熱傷などを発症して痛みが生じる場合がありました。その点、当院では「センチュリオン・ゴールド」でも最も進化した最新機器で、しかも「オジル テクノロジー」というシステムで、特に核が硬化した高度の白内障でも超音波時間を頭著に短縮でき、創口の発熱を80%も軽減することで、術後の炎症も抑え、眼の痛みを防いでくれます。
また、当院では、緑内障を合併した患者さんの白内障手術や白内障と緑内障同時手術も多く実施しており、加齢や緑内障、高度近視などで弱った視神経を保護するため、「アクティブセントリー」という正確な眼内圧管理システムにより眼内の水圧を低く保ち、痛みも抑えることのできる低眼圧・低灌流手術システムを導入。そして、当院では、白内障で濁った核を静かに分割し、溶かすように吸引除去する安全な核処理「スプリット&メルト法」を開発し、全症例に実施しています。さらに、「センチュリオン・ゴールド」を高頻回パルスモードに設定して使用し、静かな超音波で水流に悪影響を与えることなく、より円滑で安全な眼に負担の少ない手術を実現しています。
2ミリの極小切開からの専用インジェクターによる最新の眼内レンズの挿入
濁った水晶体を粉砕吸引した後は、極小切開創口から小さく折り畳んだレンズを挿入します。
これまでの約60年間は、ハードプラスチックレンズが使用されてきました。工学的にも優れ、生体内に入れてもほとんど変化をしない長所はあったものの、折り畳めないために創口を大きく開く必要がありました。そのため、新たな乱視の発生や術後炎症の増大、後発白内障の発生(再発)などの懸念が付きものでした。このような理由から、当院では小さく折り畳めるソフトアクリルレンズを使用して、わずか2ミリの「極小切開法」(MICS)による白内障手術を左記の最新の手技で実施しています。
ソフトアクリルレンズは、「極小切開法」(MICS)による白内障手術に対応できる柔軟性の高いアクリル樹脂を使用した眼内レンズです。これを小さく折り畳んで「インジェクター」という小さな筒状の素材の中に包み込んでセットされた状態から、わずか2ミリほどの創口から周囲の組織に触れずに、きわめて清潔な無菌の状態のまま眼内に挿入します。手術後の切開創が小さければ小さいほど、術後の炎症も少なく、新たな乱視も発生せず、手術後の視力回復が早いのです。さらに、他のすべての眼内レンズと比較しても後発白内障が起こりにくく、あらゆる点で非常に優れた高品質レンズです。
さらに当院では、院長考案の特殊鋼製メスを使った「ステルス切開法」(別名:不知火切開法)により、無縫合できれいに密着して違和感もなく、切開創が幻のように消えてしまいます。
さらに、この高品質眼内レンズには、紫外線のみならず、高齢者の視覚障害の主座を占める加齢黄斑変性などの原因となる「ブルーライト」も吸収してカットする機能も備わっており、眩しさや光の反射を抑えて自然な色彩で物を見ることができる「自然視」を可能にしてくれるメリットもあります。
加えて、この高品質眼内レンズは通常の生活に有用なだけでなく、写真家や画家、デザイナーなどの仕事や洋裁やパッチワークなどの趣味で細かな色彩を重要視される患者さんにも、安心して手術時にこの眼内レンズを挿入させていただき、多くの方々に喜ばれています。
誰もが罹る「白内障」手術を受ける前に
知っておきたいその真実と秘訣
- 01 自分では気付きにくい白内障
- 02 白内障は、すべての人に発症する逃げられない眼病
- 03 老眼デビューは白内障の初期症状で、老眼の進行には要注意
- 04 白内障の適切な時期での手術による「老後の健康」のための多くの有用性
- 05 最良の白内障手術の実施のための当院の取り組み
- 06 進化した最新の白内障手術「極小切開法手術」(MICS)を実施
- 07 健康保険のみで可能な高機能付加価値眼内レンズと単焦点眼内レンズの勧め
- 08 「多焦点眼内レンズ」をめぐる数多くの問題点
- 09 健康保険のみで快適な視生活を実現する当院開発の新治療「コンフォート・モノビジョン法」®(特許庁認可登録)による白内障手術
- 10 丁寧さと安全確実性を求めた最良の白内障手術を追求して