Cataract 白内障
05.最良の白内障手術の実施のための
当院の取り組み
わずか2ミリで無痛の「極小切開法」(MICS)
かつて、昭和50年代前半ごろまでの白内障手術では、12ミリ以上も大きく切開創を広げて、濁りの原因である水晶体の「核」を丸ごと摘出のうがいする「嚢外摘出術」が行なわれていました。その後、手術技術や機器も進歩して、濁った水晶体を超音波で細かく分解して吸引除去する「超音波乳化吸引術」により、約7ミリ程度の切開創から6.5ミリの固形のプラスチック製の眼内レンズを挿入する手術が一般的に行なわれるようになってきました。さらに、眼内レンズの材質が進化し、アクリルソフトレンズという柔軟な高品質の眼内レンズを小さく折りたたんで4ミリの創口から挿入し、残した後嚢の中に眼内レンズを固定する「小切開法」(SICS)という手術法が実施されています。
そして、手術技術および機器のさらなる進歩により、当院ではわずか約2ミリの切開創から、柔軟な6ミリの高品質眼内レンズを折りたたみ、細い筒状の器具(インジェクター)に包み込んでセットされた状態から、眼内に清潔かつ安全に挿入する「極小切開法」(MICS)を実施しています。この方法により、さらに早期の視力回復が現実のものとなり、患者さんの負担はさらに軽くなり、QOLの向上に寄与しています。
この方法により、手術後の炎症を最小限に抑えるだけではなく、創口の治癒も早く、強度も強く保てることで、術後の乱視の発生も抑えられ、より早期に安定した視力を得ることができるようになったのです。
この「極小切開法」(MICS)は2003年に米国で開発され、日本でも少しずつ実施され始めました。当院では熊本県で最も早く2005年初頭に導入し、多くの患者さんの視力の早期回復に寄与し、喜ばれています。
麻酔法も、当院では目薬のような点眼麻酔に加えて眼に優しい少量の局部麻酔薬を併用した「無痛麻酔法」®によって手術中もほとんど痛みを感じません。手術時間も白内障の程度や個人差はあるものの、通常の眼であれば約10分程度のごく短時間で終了します。このような最新技術の導入により、従来の方法と比較して、切開創も約6分の1ほどのミクロの創口で済むようになり、全症例で「日帰り手術」が可能となりました。
昔なら術後は砂のうで頭を固定し、1〜2週間はベッドの上で絶対安静を強いられたものですが、現在では術後の回復も早く、翌日からほぼ通常の日常生活を送ることができます。
熟練した複数の検査スタッフによる精度の高い眼内レンズ計測により、理想的な度数を決定
医師と患者さんの双方が納得のいく手術を行なうためには、準備段階での「検査」が大変重要です。というのも、患者さんの希望に沿った見え方を実現させるには、眼内レンズの度数をきっちり合わせるための精密な検査が欠かせないからです。
「眼内レンズ」には、メガネのレンズと同じくさまざまな度数があります。他人のメガネをかけると違和感があるのは、メガネを作る際に一人ひとりの眼に合うように精密に調整してあるからですが、眼内レンズの度数も熟練した複数の検査スタッフが、精度の高い計測を行なうことでその人にピタリと合った度数を決定します。
計測するのは、角膜のカーブの度合い(角膜曲率)と眼球の奥行き(眼軸長)の2つです。
角膜曲率を測定するには、当院では最新型の「トポグラフィー」などの最新の検査機器を使います。この最新型のトポグラフィーには角膜の測定ポイントが数百もあり、細かい角膜の凹凸を正確に測ることができます。
もう一つの大事な検査である眼軸長を測るには、超音波式と光学式の機器があります。当院では眼科業務で20年以上のキャリアのある経験豊富な習熟した複数の検査スタッフにより、この超音波式と光学式の両者の器械を併施して、しかも何度も繰り返し計測をして精度の向上に努め、良好な視力の向上に寄与しています。
このようにして、熟練した検査スタッフによる2種類の最新の測定機器での計測で得られた数値に、数種類の眼内レンズの度数計算式を当てはめて度数を割り出し、眼内レンズの度数を決定します。ここでわずかな計測のズレが生じると、眼内レンズの度数もその分ズレてしまうのです。例えば、ドライアイを含む不正乱視の症例や強度の近視や遠視などの症例では特に度数ズレを引き起こしやすいことが知られています。
このような経緯から、経験豊富な習熟した複数の検査スタッフが、2回目以降は検査費用は請求せずに複数回何度も計測して、より精度の高い眼内レンズの度数決定を行なっている事情があり、より良い手術のための術前検査には時間を要することをご理解いただきたいと思います。
チーム医療編―専門スタッフの総合力も結集して患者さんのニーズに応える
手術の成功は、熟練の医師と専門的な技術と経験を持つ医療スタッフとのチームワークにかかっています。各自がベストを尽くしながら、お互いに連携し合いサポートし合うのがチーム医療です。
イタリアの老舗の靴店には、ひいきの顧客一人ひとりの足の木型があるそうです。だから出来上がる靴は、その人の足にぴったりフィットして長く歩いても疲れないといいます。
白内障手術の前にも、まるで足の木型を作る時のように、習熟した検査スタッフが精確なデータをとり、患者さんの希望にぴったりフィットした眼内レンズを選ぶことが大事です。さらに、患者さんの不安を和らげるための看護スタッフの心配りなどの配慮によって、手術医は各計画の思い通りに手腕を発揮することができるのです。
誰もが罹る「白内障」手術を受ける前に
知っておきたいその真実と秘訣
- 01 自分では気付きにくい白内障
- 02 白内障は、すべての人に発症する逃げられない眼病
- 03 老眼デビューは白内障の初期症状で、老眼の進行には要注意
- 04 白内障の適切な時期での手術による「老後の健康」のための多くの有用性
- 05 最良の白内障手術の実施のための当院の取り組み
- 06 進化した最新の白内障手術「極小切開法手術」(MICS)を実施
- 07 健康保険のみで可能な高機能付加価値眼内レンズと単焦点眼内レンズの勧め
- 08 「多焦点眼内レンズ」をめぐる数多くの問題点
- 09 健康保険のみで快適な視生活を実現する当院開発の新治療「コンフォート・モノビジョン法」®(特許庁認可登録)による白内障手術
- 10 丁寧さと安全確実性を求めた最良の白内障手術を追求して