むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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Cataract 白内障

03.老眼デビューは白内障の初期症状で、老眼の進行には要注意

白内障の4タイプの濁り方で変わるさまざまな症状

白内障は初期段階ではほとんど自覚症状はありませんが、濁りの度合いが進んでくると見え方に違和感が生じてきます。例えば、眼がかすんだりまぶしく感じたりして、ものが見えにくくなる症状が一般的です。これは先述したように、水晶体が濁ったために光が乱反射するからです。
白内障が進行していくとかすみが次第に強くなり、曇りガラスを通して見るように白っぽくかすんで見えるようになっていきます。
ただし、白内障の進行は個人差が大きく、また水晶体の濁る部分によって症状の出方も違ってきます。これから、濁り方の違う4タイプをご紹介しましょう。

1,皮質ひしつ白内障

【特徴】
  • 白内障で最も多く初期には自覚症状が出にくい。
  • 濁りがいったん瞳孔内まで届いてしまうと視力低下症状の進行が早い。

一般的な加齢性白内障の場合、水晶体の中で核の周辺を囲んでいる皮質部分から濁り始めるケースが最も多いのです。それも、外から内側に向かってクサビ形に白っぽく濁ってきます。これを「皮質白内障」といいます。
初期の段階では中心部の「核」がまだ透明なため視力低下などの自覚症状が現れにくく、濁りが中心部まで達するのに何年もかかるため白内障だとはなかなか気づきにくいのが特徴です。
しかし、水晶体の濁りが徐々に瞳孔内の中心部へと広がってくると、次第に「眼のかすみ」が出始めます。これは、白内障では最も多くみられる症状です。さらに、濁りが瞳孔内の中心部まで広がると、眼のかすみだけではなく「まぶしい」「メガネをかけても、細かい文字が見えにくい」などの視力低下症状が現れてきます。まぶしく感じる原因も、やはり濁った水晶体の中で光が乱反射するからです。ここまで進行してしまうと急激に視力が低下して、それまでかけていたメガネが合わなくなり、見えにくくなることがよくあります。この場合、メガネをいくら替えても視力は改善せず、むしろ眼を疲れさせてしまう結果になります。
この先の進行は早く、「霧がかかったようにボヤケてかすむ」「太陽や照明などがまぶしくギラギラして見える」などといった症状が現れてきます。また、暗い場所では瞳孔が大きくなるため、濁りの範囲も広がり特に見づらくなります。
このため、夜間の運転時などで対向車のライトを浴びると「全く見えなくなる」などの危険が生じ、注意が必要となります。

2,かく白内障

【特徴】
  • 水晶体の「核」が固くなり、近視の症状が急に進行しやすい。
  • 放置すると二重視症状や細かい色の識別に支障をきたす。
  • 放置により「核」が石のように硬化し、手術のリスクが急激に高まる。

皮質白内障とは逆に「核」、つまり水晶体の中心部から濁り始めるのが「核白内障」です。お饅頭に例えれば、白餡あんの部分から濁ってくるというわけです。
このケースでは、「核」の部分から硬くなり、黄色く濁ってきます。水晶体そのものも硬くなり、厚みが増して屈折力が増すため、近視の方は近視が進んだと勘違いしたり、老眼の方は老眼の度が一時的に軽くなったように感じます。このような場合は要注意です。「老眼が治った」のではな「白内障が進んだからでは?」と疑って、眼科を受診してみてください。核白内障の場合ですと、やがて次第に眼がかすむ症状が進行するようになってくるからです。
水晶体の濁りは黄色から茶色、焦げ茶色へと次第に色が濃くなっていき、常に茶色のサングラスをかけているような状態なってしまいます。そうなると色彩のコントラスト感度が落ちて、紺色が黒に見えたり、黒とダークグレー、黄色と白の識別がつきにくくなります。また、ものが二重三重にダブって見えるため、道で知人とすれ違っても気付くのに遅れたり、夜、月が二重、三重に見えたり、そんな経験のある方は要注意です。
核白内障は進行すると、水晶体はガチガチに硬くなってしまいます。そうなってからでは、手術でトラブルが起きやすいのです。白内障の合併症で一番頻度が高いのは「後嚢破損」ですが、核白内障が進んで水晶体がぜい硬くなればなるほど組織も脆弱になり、そのリスクは高まるので、できるだけ早期の段階での手術が肝要です。

3,後嚢下こうのうか白内障

【特徴】
  • 水晶体の後嚢の中央にべっとりと張り付く強い濁りが特徴。
  • 瞳孔領域から白内障の濁りが始まるので、早期からみるみる視力が低下しやすい。
  • 初期から視力低下と共にかすみと眩しさを感じやすい。昼間や夜間の運転にも注意が必要。

水晶体を包む薄い膜の前面が「前嚢」、後方にあるのが「後嚢」です。この後嚢に接した中央の部分から濁るタイプが「後嚢下白内障」です。光の通り道が濁るので、早い時期から「眼がかすむ」「まぶしい」といった視力低下の症状が現われ、進行も早いのです。特に、強い日差しの下などの明るいところでは、瞳孔が縮まり水晶体の濁った中央部のみに光が入るため見えにくくなります。むしろ、曇りの日や屋内のほうが見えやすいというのもこのタイプの特徴です。例えば、通常の室内の視力検査では1.0程度に見えていても、屋外の明るさの中や逆光状態では、水晶体の中で光が乱反射して視力が0.2〜0.3まで低下するということも起こるのです。このため、夜間の運転でも、対向車のライトを浴びると「まったく見えなくなる」などといった症状も発生し、また早期からの視力低下も顕著で注意が必要です。
後嚢下白内障の原因は加齢だけではなく、リウマチなどの膠原病、喘息などの病気で副腎皮質ホルモン(ステロイド)を長期間使用している方や糖尿病、アトピー性皮膚炎の方に合併症としてしばしば発症することがあります。特にアトピー性皮膚炎の方は10代後半から20代で発症することもあり、進行も早いので要注意です。

4,前嚢下ぜんのうか白内障

【特徴】
  • 水晶体の中央部の前嚢の直下に強い濁りを生じる。
  • 瞳孔領域から白内障の濁りが始まり、ヒトデ状に大きく広がってくる。
  • 瞳孔領域の濁りのため、早期からの視力低下症状と共にかすみや眩まぶしさを感じやすい。昼間や夜間の運転にも注意が必要。

仕事や趣味で長時間パソコンを使用したり、あるいは若い人の間で増えているスマホを長時間凝視してブルーライトを浴び続ける生活習慣が、30代から40~50代前後の若中年層の「前嚢下白内障」の原因として問題視されるようになってきました。
このケースの白内障は、水晶体を包む前嚢の中央部にヒトデ状の白っぽい濁りが現われます。最初は小さい濁りですが、次第にヒトデのような形に広がっていきます。
後嚢下白内障と同じく光の通り道に濁りが生じるため、瞳孔が縮まる明るいところでは視界が真っ白になり一瞬何も見えなくなったり、視力が急速に低下するなどの症状が現われます。進行も早いので注意が必要です。
40〜50代の方は、片方の眼だけ濁るなど、左右の眼の白内障進行が同時ではないことも多いので、左右の視力と度数バランスを考慮した治療が大事です。このような若中年層の白内障の原因のひとつとして、習慣的なスマホやパソコンでのブルーライトなどの長時間の光源凝視による生活習慣の影響が指摘されています。また、第2章の(最新のトピックス)で詳しく解説した通り、近視矯正手術であるレーシックや眼内コンタクトレンズ(ICL)手術を受けた方が、経年後に医原性の「白内障」や「緑内障」を発症し得ることが明らかになっています。このように、若くして40代から50代での手術が必要となることも知られており、安易な近視矯正手術は避けることが賢明です。

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