むらかみ眼科クリニック MURAKAMI EYE CLINIC

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Cataract 白内障

02.白内障とは、誰もが逃げられない眼病

白内障とは?

白内障は初期段階ではほとんど自覚症状はありませんが、濁りの度合いが進んでくると見え方に違和感が生じてきます。例えば、眼がかすんだりまぶしく感じたりして、ものが見えにくくなる症状が一般的です。これは先述したように、水晶体が濁ったために光が乱反射するからです。
白内障が進行していくとかすみが次第に強くなり、曇りガラスを通して見るように白っぽくかすんで見えるようになっていきます。
ただし、白内障の進行は個人差が大きく、また水晶体の濁る部分によって症状の出方も違ってきます。これから、濁り方の違う4タイプをご紹介しましょう。

白内障は誰もがかかる眼の加齢病で、全世界の視覚障害原因の第1位
白内障は特別な人がかかる病気ではありません。白髪やシワ、体力の衰えと同じように、どんな人でも加齢とともに進行していく老化病の中でも代表的な眼病です。そのため「年を取ったら普通のことだから」とそのまま放置したり、諦めたりしている方も多いようです。
ところが、白内障には思わぬ落とし穴があり、単なる見え方の質の低下のみならず、生活の質(QOL)にも多大な支障を及ぼします。すなわち、放置すると寿命や病気の発病にも密接に影響するとともに、睡眠の質の低下や脳の認知機能の低下、歩行速度の低下による足腰の老化を早め、心身ともに健康に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。

白内障の罹患率は100%

脳や足腰の老化を早め、認知症や寝たきりも招く白内障の「放置」
人間の感覚の中で最も大切な「見る」という器官の衰えは、日常生活に支障をきたすだけではありません。
まず最初に影響が出やすいのが、健康寿命に密接に関係する歩行速度などの運動機能の衰えです。視力が落ちれば周りの状況が把握しにくくなり、的確な動作がしづらく、動くのをためらうことも多くなります。特に急な素早い動きができなくなり、とっさの場合の反応も鈍くなって思わぬ事故につながる危険度も増してくるのです。また、足元が見えにくくなるため転倒しやすくなり、骨折や寝たきりになる可能性も大きくなります。
英国で70歳以上の女性患者さんを調べたところ、白内障の手術を受けた人は放置していた人に比べて、転倒のリスクが4割も少なかったという研究結果が出ています。
また、米国では65歳以上の白内障の患者さんで手術を受けた人と放置した人を比較した結果、白内障を放置した人は最も寝たきりになりやすい股関節骨折(大腿骨頸部骨折)のリスクが著しく高くなることが分かりました。そして、白内障の手術をすることにより、3割近くも骨折のリスクが低下したことが報告されています。
米国老年学会の雑誌で紹介された研究報告では、白内障を放置している人が交通事故を起こすリスクは2.5倍も高いということです。高齢者の運転が問題視される大きな原因の1つが、白内障の放置による動体視力の低下です。視力そのものは免許更新が可能であっても、動体視力が低下すると事故につながりやすくなるのです。しかし、白内障手術をすれば、視力も動体視力もともに向上する可能性が高まり、交通事故のリスクも顕著に下がります。
さらに白内障の放置は体への影響だけでなく、実は脳や心の精神的な機能の障害とも密接に関連しているのです。
特に睡眠の質の障害(睡眠障害)は、寿命や病気の発症にも大きく関わってきますが、睡眠障害に悩む患者さんが白内障手術をすることにより、約60%もの方に睡眠障害の改善が見られたことが判明しています。
その理由として、眼は画像と光を網膜から脳、そして全身へと伝える機能がありますが、白内障手術により光受容体の機能が増強し、体内時計を通して全身の生理機能が改善したことが認められているからです。さらに、視機能の向上による認知機能の改善、うつの予防や症状軽減の効果も報告されています。実際、白内障の高齢者の多くは「うつ」状態になっており、中には認知障害(MCI)を合併しているケースも多く、放置することで悪化していきます。
その理由は、普段、私たちは身の周りの情報の約90%以上を眼(視覚)から得ているからです。眼は「情報の窓」であり、この働きが衰えてしまうと、毎日の生活から活気が失われていき、「うつ」状態や認知障害に陥ってしまうことも非常に多いのです。
もう少し具体的にお話ししましょう。白内障が進行すると、テレビやDVDを見たり本や新聞を読む、美術を鑑賞する、あるいはウォーキングや散歩を楽しむといった趣味や娯楽も存分に堪能できにくくなり、全てが面倒になってきてしまいます。その結果、外出や人に会うことも嫌になり、動作が緩慢になって精神的にも「うつ」となり、さらに活動範囲も狭まって、いわゆる「引きこもり」状態に陥るという事態になるのです。
これは現在の高齢者医療の中でも特に問題となっています。中でも気をつけなければいけないのが「認知症」です。
白内障を放置することで、光を感知する脳の機能の低下や視力の低下によって情報量が顕著に減少し、脳への刺激が減ってしまうと、脳はすぐに廃用性委縮(使われなくなった脳の一部が縮んでくること)を起こしてくるからです。
内閣府が2017年に出した『高齢社会白書』によると、近い将来65歳以上の高齢者の5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。
白内障を放置した人は寝たきりや認知症の発症のデータがある

60代で8割以上、70代では9割以上がかかっているが、必ず治せる眼病

「ある程度の年齢になったら、眼がかすんだりぼやけたりしてくるのは当たり前だ」と半ば諦めていませんか?
歩行中に足元の段差や石などに気付かずにつまずいたり、夜間や早朝・薄暮、雨の日などの車の運転中にぼやけやかすみで見づらく、危険に気付くのが遅れて困るという方、家族と旅行をしてもせっかくの風景がかすんだりぼやけて見えるので一緒に楽しめずにがっかりしたという方、年だからと諦めることはありません。
見えづらいのが白内障のせいだとしたら、必ず治せる病気だと考えてください。まず、白内障とはどんな眼病かを知ることから始めましょう。

白内障は高齢者だけでなく、40代からすでに発症している

老眼は、実は白内障の初期症状で、水晶体の弾力が低下して白濁が進む
老眼は40代ぐらいから気になり始めますが、白内障については60代や70代になるまでは気にしない方がほとんどです。ところが実は、40代で白内障にかかる方も近年増えているのです。白内障の初期は、老眼の症状とよく似ているため、自分が白内障にかかっているとは思いもよらない場合が多いのです。特に、パソコンやスマホのブルーライトを長時間じっと見つめていることの多い現代人にとって、白内障はもっと気にすべき眼病だと言えるかもしれません。というのは、最近は30代から発症する「若年型白内障」が増えてきているからです。
また、近視の手術であるレーシック、眼内コンタクトレンズ(ICL)手術を受けた患者さんでは、40代後半から50代前半で白内障手術が必要となることも多く、大きな問題となっています。

40代以降での近視の進行は「かく白内障」が原因

近視というのは、体の成長に伴って眼軸が延びることで進行し、思春期が過ぎて成長が止まると視力は安定してきます。ところが、40代以降でも近視が進行してメガネを替えなければならない人もいます。そういう場合は、「核白内障」の影響による近視の進行が大半を占めているのです。
かく白内障」とは、眼の中にある水晶体の中心部分である「核」が少しずつ硬くなっていくタイプの白内障で、進行するにつれて近視も進んでいくのです。

白内障はタイプ別に多彩な病状が現れます

白内障では「かすみ」や「ボヤケ」「まぶしさ」など、光に敏感になる

天気の良い日に散歩やウォーキングなどを始める際など、日陰や建物の中から急に明るい所に足を踏み入れ た時、一瞬ものが白っぽくかすんで見えにくく感じることはありませんか? 向こうから歩いてくる人の顔が、逆光だとかすんでよく見えなかったり、車の運転などでも、日中はあまり気にならないのに、夜になると対向車のライトがまぶしくて一瞬見えにくくなり、ヒヤリとするということはありませんか?
白内障にかかると光に敏感になり、眼のかすみやボヤケ、まぶしさなどが気になり始めます。そんな時は眼科専門医で診察を受けましょう。

ものが二重にダブって見える症状でも白内障を疑う

中高年者の方で「最近、ものがダブって見えるけど、乱視になったのかも」とおっしゃる方がいます。月や星が二重、三重に見えたり、小さな文字の濁点と半濁点などの区別がつきにくい、数字の3と8、5と6の判別が少し見づらくなってきた、スーパーで食品の原材料表示を見ても文字が小さすぎて滲んで見える、という場合は白内障の発症を疑い、眼科専門医を受診することをお勧めします。
老眼が進むにつれて眼の中の水晶体が硬くなり、しかも弾力性にバラつきが出るため視界が二重、三重に見える乱視の症状も強く出やすくなります。このように、老眼は白内障の前段階の病状でもあり、乱視も合併しやすく注意が必要なのです。

老眼が軽くなり、近くが見えやすくなる「核白内障」にも要注意

白内障にもいくつかのタイプがあり、特に遠視の方はそれまで見づらかった手元が急にメガネなしでも見える ようになり、「老眼が治った」などと勘違いする場合があります。しかし、これは白内障 (核白内障)が原因で、水晶体の屈折率が高くなり、近視化することで遠視が軽くなったために起きる現象で、一時的なものです。
しかし、核白内障は進行が速いので、放置は禁物です。老眼や遠視が良くなってメガネが合わなくなったら、早めの受診がお勧めです。

白内障では視界の鮮明度(コントラスト)が不良になり、ボヤケたりかすんで見えにくい

眼球の前方に位置してレンズの役目を果たす水晶体は、若いころは無色透明ですが加齢とともに白く、あるいは黄色く濁ってきます。これがいわゆる白内障の症状で、視界がボヤケてかすんでくるのです。
白内障が進むと、水晶体の色も透明さを失って黄色から褐色に変化して弾力も失われていきます。こうなると視界の鮮明度(コントラスト)が落ちて、例えば薄いグレーと白、白と黄色、黒と群青色など、同系色の識別がはっきりとしづらくなります。

最新のトピックス

話題の「近視矯正手術」(ICLやレーシック)も白内障と緑内障の原因に

レーシック手術について

これまでに盛んに行なわれてきた近視矯正のための人気のレーシック手術の件数も、かつての約10分の1までに減少しています。
レーシック手術といえば、かつては厚労省承認の「錦の御旗」の下に大々的に宣伝もされて、一世を風靡していました。しかし、レーシックは360度角膜を切開するため、ドライアイやコントラスト視力(視覚の鮮明度)の低下など、さまざまな副症状や合併症などが問題視されてきました。さらに、北里大学医学部眼科の清水公也名誉教授により、40代後半から50代前半(平均約51歳)ですでに白内障が早期に進行して白内障手術が高率に必要となることが、世界でも権威ある学術雑誌で報告され、大きな衝撃となりました。
このような理由と経緯から、レーシックの手術件数はかつての約10分の1にまで顕著に減ってしまったのです。

ICL手術(眼内コンタクトレンズ手術)

これに代わる形で行なわれるようになったのが、眼内コンタクトレンズ手術(ICL手術)です。この手術はレーシックのような高額な器械を使用せず、白内障を行なう施設で同様な方法で手術ができます。その上、白内障手術の手技の一部のみで、かつICLのレンズを挿入するという手技だけで済むため、導入しやすい面があります。
さらに、このICLの製造販売元である「スター・ジャパン合同会社」主催の講習会に出て、認定を受ければ容易に手術を実施できます。そのために、一部の眼科施設で導入されて盛んにICL手術が喧伝されています。
ちなみに、この「スター・ジャパン合同会社」というICLのメーカーは、これまで少なくとも日本の約75人以上もの眼科医に対して、自社の眼内レンズを使用した白内障手術の動画を作製する契約を結んだ上で、患者さんに無断で手術動画の提供を受け、契約した眼科医に総額2145万円もの現金を渡したとの問題で摘発を受けました。さらに、医療機器業公正取引協議会による調査で、「景品表示法」の法律に基づく自主規制に違反した販売促進目的であったことが認定され、最も重い「厳重警告」処分を受けました。このため、同社は白内障用眼内レンズ製品の業界から完全撤退を余儀なくされています。

ICL手術の問題点

こうして盛んに喧伝されているICLについても、緑内障の専門医を含む多くの眼科医から、ICLに伴う合併症による深刻な問題点が数多く指摘され、「ICL手術を勧めない」との意見が多くなっています。

【ICL手術を勧めない第1の理由⁨⁩】「急性緑内障発作」(急性閉塞隅角緑内障)を誘発するリスク
緑内障の専門医の方々がICL手術を勧めない第1の理由として、一晩のうちに視野障害や急性の失明を生じさせることもある「急性緑内障発作」(急性閉塞隅角緑内障)を誘発するリスクがあるためです。
少し専門的な話になりますが、眼内の異物であるICLは、水晶体前面のすぐ手前に移植されるため、水晶体が年齢よりも早く膨隆しやすいなどの原因でICLが水晶体により前方に押し出され、ICLのエッジ(端の部分)で虹彩(茶目)の付け根を直接圧迫して、眼の中を循環する水(房水)の排出口(隅角)を閉塞させてしまうのです。そのために、眼圧が急激に上昇し視神経を圧迫して一晩で視野障害や失明に至ることもある「急性緑内障発作」(急性閉塞隅角緑内障)を誘発してしまうのです。
このような事例は決して人ごとではなく、実際に鹿児島大学医学部眼科の山下髙明客員教授による九州眼科学会での報告を含め、国内外で報告されています。
ICL手術後の眼の構造
【ICL手術を勧めない第2の理由】「色素性緑内障」を引き起こすリスク
緑内障専門医の方々がICLを勧めない第2の理由として、「色素性緑内障」を引き起こすリスクがあります。ICLが虹彩の裏面と接触しているため、1日で2万回以上する瞬目(まばたき)などの日常生活の動作や視界の明暗により瞳孔の大きさが変化する際などに、ICLと虹彩がこすれて虹彩の色素が眼内に散布されることが挙げられます。これにより、房水の排出口である隅角に散布した色素が溜まり、目詰まりが生じて経年後に眼圧が相当な高値にまで上昇して、視神経が圧迫されて視野が障害されていく「色素性緑内障」を起こすのです。
この「色素性緑内障」も、ICL手術後に数年以上経過してから発症し、徐々に眼圧が上昇するため、かなり高い眼圧が長く続いても少しかすむ程度で自覚症状が乏しいのです。そのため、気付いた時には視神経が高度に傷付き、緑内障がかなり進行していて、顕著な視覚障害を発症することが明らかになっています。
事実、ICL手術後の「色素性緑内障」の発症については、権威あるアメリカの眼科学会の学術雑誌(American Journal of Ophthalmology.)にも掲載され、詳細に報告されています。
瞳孔領域の「前囊下白内障」発症
同時に、眼内の異物であるICLと水晶体前面の周囲組織が接触していることで、水晶体が細かいボディーブローを受け続けるような物理的刺激により、早期に瞳孔(ひとみ)領域の「前囊下白内障」を発症することも明らかになっています。
強めの近視の人ほど緑内障となるリスクや早期に白内障となるリスク
しかも、強めの近視の人ほど緑内障となるリスクや早期に白内障となるリスクが、もともと髙いことが知られています。さらに、すでに緑内障が発症している眼にICLが挿入されているケースも多くあります。事実、当院を受診した複数名の緑内障の患者さんに、他院でのICL手術の施行が確認されています。
一方で、花粉症などのアレルギー性結膜炎とアレルギー性眼瞼皮膚炎、あるいはドライアイなどで、眼や顔をこすったり触ったりする習慣のある患者さんがICL手術をされた場合に、ひときわこのような緑内障や白内障などの重篤な合併症を起こすリスクが非常に高いことも知られています。
しかし、通常の症例でも、強めの近視の方ほどICL手術後に 「白内障」、「緑内障」や「眼圧上昇」などのさまざまな合併症を起こすリスクが特に髙いことと、「網膜剥離」などの網膜疾患を発生しやすくなることも判明しています。
事実、ICLの製品説明書にも「有害事象」としてのICL手術による眼病の合併症として、前記に挙げた緑内障と白内障や網膜剥離などをはじめ、実に41以上もの手術後の眼病の合併症を発症するリスクがあることが明記されているのです。しかも、強めの近視の症例ほど、ICLの手術後に「白内障」と「緑内障」、「眼圧上昇」や「網膜剥離」などの眼底病変など、より多くの合併症を起こすリスクが特に髙いことも併記されているのです。
また、ICL手術によるこのような合併症を起こした場合、手術後も視覚障害が残るとともに、ICLを摘出した際もICL手術の費用(両眼で約72万円)はもちろん戻ってきません。さらに、ICL摘出の費用もすべて自費となるため、ICL手術の費用と手術時のリスクだけではなく、手術後の合併症のリスクとICL摘出時の費用についても、併せてICL手術前に事前確認しておくことが必要です。

ICLレンズの改変について

近年、ICLのレンズの中央にごく小さな穴を開けた製品に改変され、ICLの手術後の重篤な合併症である「急性緑内障発作」の発症率を下げる目的で、虹彩(茶目)に事前にレーザーで穴を開けるレーザー虹彩切開術を行なう必要性が少なくはなりました。しかし、これまで述べたような経緯から、「色素緑内障」ならびに「白内障」などの合併症のリスクは変わらず、ICLのエッジの圧迫による「急性緑内障発作」(急性閉塞隅角緑内障)の合併症のリスクも低減されたわけではありません。

ICL手術と眼科医の倫理

もともと、「屈折異常」以外に眼の病気のない通常の近視の方は、メガネやコンタクトで矯正すれば正常な視力が得られます。 現に、日本眼科学会による屈折矯正手術ガイドライン(第7版)においても、ICLなど近視矯正手術の対象は、メガネやコンタクトの使用が困難な場合や医学的に合目的な事由が存在する場合に限られています。
それなのに、経年後に重篤な視覚障害をもたらすさまざまな眼病の併発のリスクを背負って、安易にこのようなICL手術がなされることが重大な問題となってきているのです。しかも、水晶体の周囲組織や虹彩とICLなどを含む眼内異物との接触によって、「白内障」が発症したり「急性緑内障発作」や「色素性緑内障」が発症することは、眼科医ではすでに常識となっています。 それにもかかわらず、ICL手術をしたタレントや眼科医などを広告塔としたCMやインスタグラム、広告などの記事に加えて、「もうメガネやコンタクトから卒業しませんか?」などとICLの表面上の利便性や快適さのみを強調した上で喧伝する眼科施設もあります。このような広告などの記事には「あくまで個人の感想です」との付記が「景品表示法(優良誤認)」の法律で義務付けられていますが、それすらしていない眼科施設もあります。
このため、このようなICL手術についてのCMやインスタグラム、広告などの記事に惑わされた近視の患者さんが、ICL手術後の「緑内障」や「白内障」をはじめ、さまざまな多くの合併症のリスクをよく理解しないまま、安易にICL手術を受ける傾向が顕著となり、非常に憂慮される事態となっています。
さらに、ICL手術後から数年経過して若年性の白内障を生じた場合に、高額な多焦点眼内レンズを勧める眼科施設もあり、このような眼科医の倫理性も問題となっています。

白内障を防ぎ抑える生活術

白内障など、眼の老化の原因の「糖化」を抑える生活術

白内障など、眼と体の老化の原因として、「糖化」と「酸化」という生体内現象が強い影響を及ぼすことがわかっています。 白内障を招く意外な原因の中に、甘い物や果物好きなど糖質を多く摂る人の血糖値が上昇しやすく食後食後高血糖や糖尿病を招く危険があるのはご存じの通りです。特に日本人は欧米人に比べて食後高血糖になりやすい「隠れ糖尿病」の異名をとる体質の方が多いことが知られています。このような食後高血糖や糖尿病の人は比較的若いうちから白内障が起こりやすく、症状も悪化しやすいことがわかっています。その原因になるのは、高血糖によって体内に発生するAGE(終末糖化産物)という悪玉物質による「糖化」という生体内現象です。
高血糖になると、過剰に増えたブドウ糖は、眼だけでなく血管や脳、心臓や腎臓、皮膚などの主成分であるタンパク質に付着して変質します。この変質したブドウ糖とタンパク質の結合したものがAGEの正体なのです。この悪玉物質のAGEは体の各組織に溜まって細胞に炎症をもたらし、老化の促進に関与しています。このため、AGEは眼内の水晶体が濁って白内障を引き起こしたり、網膜にも溜まって加齢黄斑変性などの眼病の原因となることにも深く関わっています。すなわち、水晶体ではその大部分を占めるクリスタリンという透明なタンパク質にAGEが付着して、水晶体の透明性が低下して白濁し、白内障を招いてしまうのです。
このような糖質とタンパク質が結合したAGEは体の「コゲ」にあたり、一旦AGEが生じると元の糖質とタンパク質に戻ることができず、体の中にどんどん溜まっていきます。
このようなAGEが付着した「糖化」の原因によって、若年から発症し進行も早い白内障が近年特に増加し、大きな問題となっています。 この「糖化」の防止対策として、血糖値の上昇をできるだけ抑えて体内のAGEの発生を防ぐ「糖質制限食」という手法が推奨されています。そのポイントはいくつかありますが、最も大切なのは、ご飯やパン・めん類などの炭水化物や和菓子、チョコレート、ケーキやスナックなど砂糖がふんだんに使われた菓子類を控えることです。
糖質を控える一方で、糖質制限食では魚介類・肉類・豆腐・納豆・チーズなどのタンパク質や脂質をしっかりと摂ることも推奨されています。こうした食品は、血糖値にほとんど影響しません。ちなみに、どうしても甘い物を食べたい時には、血糖値が上昇しないパルスイートなどのカロリーゼロの甘味料を利用するのが賢明です。
また、糖質制限食を実行すると同時に、AGEを多く含んでいる食品を避けることも大事です。直火で焼いたり油で揚げたりした食品では、食品中のタンパク質と糖が糖化反応を起こし、AGEが著しく増加します。特に要注意なのが、肉や魚の「コゲ」です。このような「コゲ」の部分には高い濃度のAGEが含まれているので、極力食べないようにしましょう。
こうしたことから、食品を調理する際には、コゲ付かずAGEの発生量が比較的増加しにくい「蒸し料理」か「ゆで料理」の割合を多くすることが推奨されています。そのほか、生で食べられる刺身や野菜サラダなども積極的に摂取することが奨められます。
こうした食事習慣を実行することにより、体内に蓄積するAGEを減らして「糖化」による眼と体の老化を抑える効果が期待できるので、白内障や加齢黄斑変性、緑内障などの中高年の眼病予防の対策としてもお奨めします。

「蒸し料理」や「ゆで料理」の割合を多くすることが推奨されています。

白内障や緑内障悪化の元凶を消す、国内初の「水素ガス温熱眼科療法®」

当院では、白内障や緑内障、眼底疾患(糖尿病網膜症、眼底出血、加齢黄斑変性、網膜色素変性)やドライアイ、眼精疲労などの治療に有効な「水素ガス吸入療法」と「近赤外線温熱治療」を併用した国内初の「水素ガス温熱眼科療法」®を導入しています。痛みも苦しさも全くなく、非常に有効な治療法です。
「水素ガス吸入療法」とは、1分間吸入するだけで水素水3トンを摂取した場合と同じ作用が得られる「高濃度水素ガス発生装置」によって、多量の水素を体内に取り込む治療法です。この水素は、病気の約90%の元凶とされている「悪玉活性酸素」(ヒドロキシラジカル)を体から消去、排出して免疫力を高め、人間が本来持っている治癒能力を最大限に高めることで、眼と体の病気を予防し、進行も抑えることができます。
これに併せて行なう「近赤外線温熱療法」(スーパーライザーPX)は、首の根元にある星状神経節という領域に近赤外線を照射し、視神経や眼底の網膜の血流を顕著に改善する治療法です。この方法は、白内障や緑内障、眼底の網膜の病気に有効であることが医学的に証明されており、眼病の予防と治療に目覚ましい相乗効果が生み出されます。
このように、痛みも苦しさも皆無の「水素ガス温熱眼科療法」®は、多くの患者さんに「眼と体がとても楽になり、気分までよくなった」と喜んでいただき、優れた有効な眼と体の治療法として高く評価されています。

当院の「水素ガス温熱眼科療法」®治療室

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